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返済不要の資金調達案件と方法【法人専用】

返済不要の資金調達案件やその方法はあるのでしょうか。
事業をやられている方であれば、資金調達は非常に関心の高い項目であるかと思います。返済不要の資金調達方法には、「助成金・補助金」「ファクタリング」「クラウドファンディング」「出資」「エクイティファイナンス」の5つが代表的です。

それ以外にも、厳密に返済不要ではないものの、それに近い資金調達の方法も紹介します。
本記事では、これらの概要やメリット・注意点について解説します。これから資金調達を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

返済不要の資金調達方法① 助成金・補助金

助成金・補助金は、国や地方自治体などの公的機関企業を支援するための制度です。

地域経済の活性化や新型コロナウイルス対策などを目的としています。要件を満たすことで返済義務を負わずに受け取ることができるため、おすすめの資金調達方法です。

助成金・補助金のメリット

助成金・補助金のメリットは以下のようなものがあります。

  • 要件を満たす範囲で使い道は自由
  • 助成金・補助金の支給実績があると公的融資を受ける際の信頼度が上がる
  • 消費税の課税対象にはならないことが多い

助成金・補助金の注意点

助成金・補助金の注意点は以下のようなものがあります。

  • 要件が厳しい場合がある
  • 申請から受給までには一定の時間を要する
  • 受給要件を満たすためにコストがかかる場合がある


助成金・補助金の不正受給は少なくないため、受給要件や審査は年々厳しくなっています。

また、申請書類の準備や申請要件を満たすための社内整備などで、時間やコストがかかる場合があります。

そのため、助成金・補助金を申請する際には綿密な準備が必要です。

補助金に関して以下で詳しく解説しています。

返済不要の資金調達方法② ファクタリング

ファクタリングは、企業が保有する売掛金を、ファクタリング会社に買い取ってもらう仕組みです。

もともとは自社の債権であった売掛金を売却するため、返済義務がなくおすすめの資金調達方法です。

ファクタリングのメリット

ファクタリングのメリットは以下のようなものがあります。

  • 最短で当日に現金化が可能
  • 売掛金の貸倒リスクを負う必要が無い
  • 売掛先のみが審査対象になり、自社は審査対象にならない・信用情報に傷がつくことはない


ファクタリングは、手続きがオンライン化しており、即日現金化できる点が大きなメリットです。審査対象はあくまでも売掛先企業であるため、銀行融資のように自社の業績が赤字で融資が受けられないという事はありません。

また、ファクタリングによる売掛金の売却により、売掛金の貸倒リスクを負う必要がなくなります。

ファクタリングの注意点

ファクタリングの注意点は以下のようなものがあります。

  • 売掛債権の金額を超える資金調達はできない
  • 手数料が高額な場合がある


ファクタリングは売掛債権の売却による方法であるため、保有している債権の範囲内でしか資金を調達することができません。

また、手数料が高額であれば受け取る金額が減るため、資金調達の目標額を下回る可能性があります。

ファクタリングに関して、以下リンクで詳しく解説しています。

返済不要の資金調達方法③ クラウドファンディング

クラウドファンディングは、新規事業や商品開発等のプロジェクト立ち上げ時に、ホームページやSNS等で資金提供を呼び掛ける資金調達方法です。

プロジェクトに賛同した人から資金を集めるため返済義務はありませんが、即時性がなく目標金額を達成するのが困難な場合もあります。

クラウドファンディングのメリット

クラウドファンディングのメリットは以下のようなものがあります。

  • 効果的に活用することで宣伝効果も得られる
  • 金融機関の融資と異なり信用調査が不要


クラウドファンディングは返済義務がなく、効果的に活用することでプロジェクトの宣伝効果を得ることもできます。また、資金提供の可否は投資家の判断に委ねられるため、信用調査も不要です。

クラウドファンディングの注意点

クラウドファンディングの注意点は以下のようなものがあります。

  • 目標額を達成が難しい
  • 資金が集まるまで時間がかかる

クラウドファンディングは、プロジェクトや事業の賛同者から資金を集める方法です。そのため、十分な賛同者を得られない場合、目標額を達成できない可能性が高いです。また、目標額を達成したとしても、資金がすぐに入金されるわけではないことに注意が必要です。

クラウドファンディングについて以下の記事で解説しています。

返済不要の資金調達方法④ 出資

出資は、事業やプロジェクトへの出資者を募る方法による資金調達方法です。

出資者は、将来有望だと期待した企業に出資します。そして、出資した企業の業績が伸び、保有株式の株価上昇により出資者は利益を得ます。

このように、出資した企業の業績が伸びれば出資者にも利益が生じるため、資金の返済義務は発生しません。

出資のメリット

出資のメリットは以下のようなものがあります。

  • 投資家から経営に関するアドバイスを受けられる
  • 人脈が広がる可能性がある

経営に精通した投資家から出資を受けた場合、経営に関するアドバイスをもらえることがあります。また、投資家からの紹介により人脈が広がる可能性があります。

出資の注意点

出資の注意点は以下のようなものがあります。

  • 出資者から経営に介入される場合がある
  • 出資者を探すのが難しい

出資により資金調達を行うと、出資者から経営に介入される場合があり、自由に経営することができなくなる危険性があります。また、条件に見合った出資者を見つけることは、非常に困難です。

返済不要の資金調達方法⑤ エクイティファイナンス

もし、上場企業が資金調達をしたいといった場合はエクイティファイナンスも選択肢のうちの一つに入るでしょう。

エクイティファイナンスは日本語でいうと「増資」になります。

もう少し具体的に説明しますと、「資本金を増やす」ということがエクイティファイナンスの内容となります。

エクイティファイナンスの種類

そしてエクイティファイナンスによる増資の方法は具体的に以下の3つとなります。

公募増資

公募増資とは、新しい株式を発行するに当たり、不特定かつ多数の投資家に対して取得の申し込みを勧誘すること。公募増資の目的は、設備投資などの資金を広く一般投資家から集めるためで、それと同時に、株主層の拡大や株式の流通量の増加というメリットもあります。

https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ko/J0332.html#:~:text=%E5%85%AC%E5%8B%9F%E5%A2%97%E8%B3%87%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84,%E5%A2%97%E5%8A%A0%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

株主割当増資

企業が新株発行により資金調達する方法のひとつで、新株式の割り当てを受ける権利を既存の株主に与えて行う増資のこと。

https://www.daiwa.jp/glossary/YST0312.html#:~:text=%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%8C%E6%96%B0%E6%A0%AA%E7%99%BA%E8%A1%8C%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A,%E6%A8%A9%E5%88%A9%E3%81%AF%E5%A4%B1%E6%A8%A9%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

株主は、持ち株数に応じて有償で新株式が割り当てられますが、割り当てを受けた株主に申し込み・払い込みを行う義務はなく、申し込みがなければ権利は失権します。

https://www.daiwa.jp/glossary/YST0312.html#:~:text=%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%8C%E6%96%B0%E6%A0%AA%E7%99%BA%E8%A1%8C%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A,%E6%A8%A9%E5%88%A9%E3%81%AF%E5%A4%B1%E6%A8%A9%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

第三者割当増資

特定の第三者に株式を有償で引き受けてもらうことで資金を調達する手法。上場企業が実施する場合には、既存株主の利益保護に配慮することが重要。

https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/ta/zoushi_3#:~:text=%E7%AC%AC%E4%B8%89%E8%80%85%E5%89%B2%E5%BD%93%E5%A2%97%E8%B3%87%E3%81%A8%E3%81%AF,%E6%89%8B%E6%B3%95%E3%81%AE1%E3%81%A4%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

これらの募集方法でエクイティファイナンスの金額を決めて、投資家に対して通知します。増資から増えた株を発行することで、エクイティファイナンスの手法で資金調達を返済不要でできるようになります。

エクイティファイナンスのメリット

エクイティファイナンスのメリットについては大きく以下の3点があります。

  1. 負債を増やさずに返済不要の資金調達が可能
  2. 社会的信用度の向上
  3. 経営から支援者を増やす事が可能

以上のようにエクイティファイナンスは株を発行することによる資金調達の手法です。資本金を増やして財務基盤を強化しつつ返済不要の資金調達が可能です。

投資家から回収することが難しいリスクのある投資を受け、信用力向上も期待できます。

また、新しい株主を増やせるので、経営での新規支援者を増やすことが可能な点もメリットとなります。

エクイティファイナンスの注意点

財務基盤強化を期待できるエクイティファイナンスの手法はメリットだらけのように感じますが、もちろん注意点やデメリットがないわけではありません。

注意点は主に以下3つになります。

  1. 経営者自主性損失リスク
  2. 適正価格の決定の難しさ
  3. 資本金増額による税金額の変更

例として、普通株式によるエクイティファイナンスを実施すると、エクイティファイナンス実施前からの株主自身の持分割合が下がります。株式会社では持株割合が権利行使に直接的に関連していくことから注意が必要です

経営者自主性損失リスク

自身保有株の割合が低下すると、議決権割合も低下するため、エクイティファイナンスでは、たとえ自身が経営者であったとしても経営の自由度や自主性損失リスクがついて回ることになります。

適正価格の決定の難しさ

2つ目のデメリットは新株発行の際の適正価格決定が非常に難しいということです。合理的な仮説に基づき理論的な価格を算出しなければならず、第三者や専門家にお願いする必要性がある場合が大半ですので、手数料やそこに伴う工数がかかり、予想外時間がかかる可能性もあります。

資本金増額による税金額の変更

3つ目は、エクイティファイナンスからの利益に関して、株主から配当金の支払いをしなければなりません。加えて、資本金の増加の影響で法人税の税率も変更されます。

その場合、たとえ赤字決算であっても税金の支払い自体は高くなるという可能性もあるでしょう。

エクイティファイナンスに関しては以下記事でも詳しく解説しています。

返済不要の資金調達方法⑥ 資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)

資本性ローンに関しては、厳密には返済不要というわけではありませんが、公的融資で最長15年まで返済不要となります。

別名、「挑戦支援資本強化特例制度」とも呼ばれているのですが、返済期間中は元金は返済不要となり、業績や収支が計算しづらい創業当初、創業融資として非常に便利な制度です。

資本性ローンは一般的な融資とは違い、資本性資金を供給する制度ですので、「負債」としてではなく「資本」とみなされる資金調達方法となります。

資本性ローンの融資限度額は7,200万円となっています。

また、この制度では対象者が非常に細かく設定されていることが特徴となります。

資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)のメリット

資本性ローンのメリットとしては以下の3つがあります

  1. 5年~15年の期日一括返済型借入
  2. 無担保・無保証人での借入
  3. 借入ではあるけれども、金融機関が融資審査を行う際、「資本」としてみなしてくれる

資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)の注意点

資本性ローンのメリットについては以上のようになりますが、デメリットも多くあります。

注意点は具体的に以下になります。

  • 金利設定が業績に応じて変動(好業績時であるほど金利が高くなる)
  • 繰り上げ返済が不可
  • 審査に長期間かかってしまう
  • 経営状況の定期報告をする必要がある

資本性ローンを受ける対象であるかどうか、具体的な制度について詳しく知りたい方は日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」をご覧ください。

返済不要の資金調達方法⑦ 銀行保証付き私募債

銀行保証付き私募債とは、簡単に言えば、銀行が保証する私募債となります。

そして、「私募債」は少数の投資家が直接引受する社債から資本を得るものです。

これと反対の「公募債」は証券会社を通じて一般から募集されるものです。

銀行保証付き私募債のメリット

私募債のメリットは、「借入」ではなく「社債」という形で決算書の負債に載せることができ、対外的に信用度のアピールが可能な点です。

銀行保証付き私募債の注意点

銀行保証付き私募債のデメリット・注意点としては各金融機関ごとで決められた所定の手数料を払う必要がある点です。

しっかりとその手数料を計算して収支が見合うかどうかを確かめなくてはなりません。

返済不要の資金調達方法⑧ 手形貸付

手形貸付に関しても厳密に「返済不要」というわけではありませんが、毎月の返済が不要となる資金調達方法です。

まず、金融機関を受取人にして会社から手形を出し、それを担保として金融機関から額面金額を借入れることができます。

返済方法に関しては、半年から1年以内の間に一括返済となります。

手形貸付のメリット

手形貸付のメリットは以下になります。

  • 一般的な融資に比べて審査が簡単で借入も早い
  • 2回目以降は即日融資も可能
  • 金利も比較的低め
  • 複数回の借入れが可能
  • 負債を極力増やさずに資金繰りができる

その中でも最大のメリットは、短期資金の借入であればメリットは面倒な手続きが不要ですぐに借入可能な点と言えるでしょう。

手形貸付の注意点

手形貸付のデメリットに関しては以下になります。

  • 短期的にしか借入れできない
  • 2回不渡りとなると銀行取引停止で事実上倒産に

手形貸付はメリットは多くありますが、あくまで短期的な借入となりますので、長期でまとまった資金調達には向いていないケースがあります。

まとめ

本記事では、返済不要の資金調達について概要やメリット・注意点について解説しました。

いずれも、返済不要の資金調達方法ではありますが、それぞれにメリットと注意点があるため事前に確認する必要があります。4つの返済不要の資金調達案件をよく理解し、自社の状況に応じた最適な資金調達を選択しましょう。

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