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赤字でも法人税は支払う?赤字決算のメリット・デメリット

赤字でも法人税は支払う?赤字決算のメリット・デメリット

企業活動を行う上では、事業環境のさまざまな変動により赤字決算となることもあります。

赤字決算は、事業年度の収入が支出を下回ってしまった場合に発生します。一般的に赤字決算と聞くとよくないイメージがありますが、いくつかメリットもあります。

本記事では赤字決算の概要やメリット・デメリットについて解説していきます。これから決算をむかえる方は、ぜひ参考にしてみてください。

赤字決算とは

赤字決算とは、収入が支出を下回り損失が発生している状態をいいます。

法人税は利益に対して課税されますので、赤字決算により利益が発生しなければ法人税はゼロになります。黒字の場合は法人税の納税義務がありますが、赤字決算であれば法人税を支払わなくても済むので、これを節税対策とするケースもあります。

日本の企業の約70%は赤字経営であると言われており、節税対策として決算を意図的に赤字としている会社もあります。

赤字経営は、客観的には決して良い状態ではありませんが、節税対策としては有効な手段の一つであるとも言えます。

赤字決算のメリット

企業としてできることなら赤字で決算を迎えたくはないものです。ですが、国としても企業の倒産は防ぎたいものなので様々な優遇措置が用意されています。

赤字決算のメリットには、大きく3つあります。詳細について下記で順番に紹介していきます。

赤字の繰越や法人税の還付を受ける際には、青色申告書である確定申告書を提出していることが要件とされています。法人税の優遇制度をいつでも利用できるよう、青色申告によって毎期正しく確定申告書を提出しておくことが大切です。

また、赤字決算であったとしても、最低限の税金が発生する点には注意が必要です。法人住民税には均等割というものが存在し、所得に関わらず資本金や従業員数に応じて課税されます。

詳しくは『赤字でも税金は払うの?法人住民税均等割とは』にて解説しています。

また、法人事業税は、資本金が1億円を超える法人であれば赤字でも発生します。その他にも、消費税は免税事業者でない限りは納税義務があります。

法人税が軽減できる

通常、普通法人での法人税は約15%~約23%の範囲で課税されます。上手く利益の出ていない企業としてはこの法人税の支払いが重くのしかかります。

【経営者必見】法人税とはどんな税?基礎知識・計算方法を分かりやすく解説

ですが、赤字決算では利益が発生していないため、法人税の支払いがありません。法人税の考え方として「利益に対しての税」となるため支払い義務が無くなります。

法人は、年に1回決算を行い、事業年度の利益を算出して法人税を計算します。法人税の申告と納付は、決算日の翌日から2ヶ月後までに行う必要があります。

また、年の途中で法人を設立した場合、設立日から決算日までの期間で法人税額などの申告・納税を行います。法人税額は、収入から支出を差し引いた利益に対して法人税率を乗じて計算します。法人税率は、中小法人化どうか、所在地の自治体や利益の金額によって異なります。

赤字の繰越により将来の法人税が軽減できる

赤字決算では利益が発生していないため、法人税の支払いがゼロになることは先ほどお伝えしました。これに加えて、法人の赤字は翌年以降に繰り越すことが可能であり、税務会計上では繰越欠損金として取扱います。

翌年以降の決算が黒字であったとしても、繰越した赤字を課税所得から控除できるため、翌年以降の法人税を抑えることができるメリットがあります。

法人の場合、平成30年4月1日以降に開始する事業年度については、最大で10年間の赤字繰越が可能です。従って、繰越した赤字は最長で今後10年間に発生した黒字と相殺することができるのです。

また、欠損金の繰越控除をする場合、欠損金が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書(白色申告書も可)を提出している法人が対象です。

法人税の還付金が受け取れる

赤字決算により、法人税の還付金が受け取れるメリットがあります。

中小企業は資本力が充実していないため、赤字決算の際には、前期に支払った法人税額を上限として法人税の還付を受け取ることができます。

青色申告書である確定申告書を提出している資本金の額が1億円以下の法人(資本金5億円以上の法人の100%子会社などを除く)が適用の対象です。また、前期より前に支払った法人税は還付されません。

赤字決算のデメリット

赤字決算のデメリットには、大きく2つあります。下記で順番に紹介していきます。

短期的な資金繰りを考える上では、赤字決算も有用な選択肢の一つです。しかし、赤字決算によって得られるメリットは、限定的な救済措置であるということを認識しておく必要があります。赤字決算は、メリットだけではなくデメリットも大きいのです。

融資を受けられなくなる可能性がある

赤字決算の最大のデメリットは、銀行などの金融機関から融資を受けられなくなる可能性があることです。

融資が受けられなくなると、運転資金などの資金繰りが行き詰まり、倒産に陥るリスクが高くなってしまいます。

銀行などの金融機関は、会社を信頼して融資を実行しています。赤字決算が続くと、将来の事業や会社に対する信頼が失われてしまいます。節税効果を目的として毎期赤字決算を続け、金融機関からの融資を受けられなくなってしまえば本末転倒です。

赤字決算による節税を図る際は、融資による資金調達が難しくなる可能性があることは念頭に置きましょう。

銀行融資で資金調達するコツ〜銀行が融資したい相手3選

債務超過になり倒産する可能性がある

赤字決算を続けることにより累積赤字が増え、最終的には債務超過に陥り倒産してしまう可能性があります。節税効果を目的として毎期赤字決算を続けることは、経営上からも会計上からも好ましくありません。

企業を適切な運営により存続させるためには、利益を出していく会社になる必要があります。

まとめ

本記事では赤字決算の概要やメリット・デメリットについて解説してきました。

記事の結論

赤字決算には、法人税の節税効果、欠損金の繰越や法人税の還付などのメリットがありますが、デメリットも大きいです。

短期的な資金繰りを考えると赤字決算は有効かもしれませんが、長期的な視点で考えると、経営上からも会計上からも好ましくありません。

会社の本来のあるべき姿は黒字決算を出し、利益を積み上げていくことにあります。過度な節税対策をするのではなく、売上を伸ばすことにより健全な経営を実現していきましょう。

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