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赤字でも税金は払うの?法人住民税均等割とは

赤字でも税金は払うの?

法人税は、事業が赤字であれば発生しないと考えるのが基本です。

しかし、法人住民税均等割は、赤字であっても毎年納める必要がある税金です。

個人の住民税と同様、会社も事務所や事業所などが位置する地方自治体に対して住民税を納付しなければなりません。

本記事では、法人に課される主要な3つの税金の概要と法人住民税均等割について解説していきます。

法人に課される主要な3つの税金

ここでは、法人が税務申告をすることで納付する主要な3つの税金について解説します。

法人に課される主要な3つの税金には、法人税・住民税・事業税があります。

法人税

法人税は、事業活動で得られた利益に課される基本的な税金であり国税に分類されます。

2021年12月現在、法人税の基本税率は23.2%で、資本金1億円以下の中小法人については、所得が年800万円以下の部分に対して15%の軽減税率が適用されます。

法人税を算定するもとになる益金・損金は、会計上の収益・費用と異なる点があるため注意が必要です。

また、算出された法人税額は、後述する住民税や事業税を計算するための基礎数値になります。

住民税

住民税は、法人の事務所や事業所などが位置する地方自治体に納付する税金であり地方税に分類されます。

法人税と同様に毎年申告が必要となる税金であり、「法人税割」と「均等割」の2つから構成されます。

また、住民税は個人に対しても課税される税金であるため、法人に課税される住民税を「法人住民税」と呼ぶこともあります。

事業税

事業税は、法人の事務所や事業所などが位置する地方自治体に納付する税金であり地方税に分類されます。

事業税の税務申告書は住民税と一体型になっており、毎年申告を行うことにより納付します。

事業税は法人の所得を基準として算出される「所得割」と呼ばれる部分が中心となります。

また、資本金の額が1億円を超える法人に対しては「所得割」とは別に「資本割」と「付加価値割」が課されます。「資本割」と「付加価値割」は所得を基準とせず、一定の規模を持つ法人にだけ課されることから「外形標準課税」と呼ばれています。

法人住民税の「法人税割」と「均等割」とは

ここでは、法人住民税について「法人税割」と「均等割」の2つに分けて解説していきます。

法人税割

法人税割は、法人税の額をもとにして算定される部分です。

法人税額に、法人の規模等に応じて定められている税率を乗じることで住民税額を算出します。

税率は、資本金1億円超の法人や法人税額が1,000万円超の法人では「超過税率」、それ以外の法人では「標準税率」が適用されます。

実際の税務申告の際には、先に法人税の申告書を作成し、算出した法人税額を住民税や事業税の申告書に転記していく流れになります。

均等割

均等割は、法人の事務所等が所在することで課税されるため、赤字でも支払いが必要な部分です。自治体の行政区域に事務所や事業所がある法人が対象となります。

事業所ベースでの課税であるため、事業が赤字でも支払う必要があり、法人の他にも行政区域で収益事業を行っている、法人格のない社団や財団も課税対象となります。

気になる方は『赤字でも法人税は支払う?赤字決算のメリット・デメリット』もご確認ください。

法人住民税均等割の納付時期と納付先

法人住民税均等割は、法人税や法人事業税と同様に、事業年度終了後2ヶ月以内に税務申告をして納付することが原則です。

申告・納付先は都道府県税事務所や市町村役場となります。

法人住民税均等割の算出方法

法人住民税均等割は、事業所の所在地や従業員数などによって金額が異なります。

以下では、東京都を例に均等割額の算出方法について解説していきます。

特別区内にのみ事務所などが所在する場合

東京23区では、資本金などの額が1,000万円以下で従業者数が50人以下の場合、均等割りは最低金額の7万円が適用されます。従業者数50人超の場合、均等割額が14万円と倍増します。

さらに、資本金などの額が1,000万円超1億円以下で従業者数50人以下の場合、均等割額は18万円、従業者数50人超では均等割額は20万円となります。

また、資本金などの額が1億円超10億円以下で従業者数50人以下の場合、均等割額は29万円、従業者数50人超では均等割額が53万円となります。

なお最高金額は、資本金などの額が50億円超かつ従業者数50人超の場合で380万円です。

特別区と市町村に事務所などが所在する場合

法人の事務所などが特別区と市町村に存在する場合、道府県分の均等割額と事務所などが置かれた特別区の数に応じた特別区分の均等割額を足したものが納付すべき法人住民税額となります。

資本金などの額が1,000万円以下で従業者数も50人以下の法人場合、道府県分は2万円、特別区分は5万円です。

法人の事務所などが特別区と市町村に存在する場合は、これらを足した7万円が納付すべき法人住民税均等割額となります。

市町村にのみ事務所などが所在する場合

法人の事務所が東京都の市町村にのみ置かれている場合、都民税は道府県分の均等割のみが発生します。

資本金などの額が1,000万円以下の法人であれば2万円、資本金などの額が1,000万円超1億円以下の法人であれば5万円となります。

この場合、従業者数は納付金額に影響しません。

均等割額は各自治体の条例により決まる

ここまで、法人の事務所などが東京都にある場合を想定した均等割額の算出について解説しました。

事業税や住民税について定める地方税は全国共通の法律だが、具体的な税金については条例で別途定められている。

自治体によって金額が異なる場合もあるため、各自治体のホームページなどで金額を確認するようにしましょう。

まとめ

本記事では、法人に課される主要な3つの税金の概要と法人住民税均等割について解説しました。

法人住民税均等割は、個人の住民税と同様に、事務所や事業所などが位置する地方自治体に対して納付する必要があります。

従って、事業が赤字であっても毎年納める必要がある税金です。

納付時期や納付先、算出方法についてしっかりと理解し、余裕をもった申告作業を進めていきましょう。

法人が納める必要のある税金については『【最新版】会社が納める税金一覧』にて説明していますので、よければチェックしてみてくださいね。