ベンチャー企業やスタートアップの課題となるのが、資金調達です。最近では金融機関による融資も増えていますが、肝心の融資額が少なく、心もとないと感じる方も多くなっています。
そんなときに力になってくれるのが、ベンチャーキャピタル(vc)です。
ハイリターンを求めるアグレッシブな投資手法で知られており、創業から経営が安定するまでの死の谷を乗り越え、IPOを目指すのに欠かせない存在となっています。ここでは、ベンチャーキャピタルの正しい選び方について見ていきましょう。
目次
ベンチャーキャピタルの得意な分野を知る
ベンチャーキャピタルには、それぞれ得意とする分野があります。ファンド運営者らは、自分たちがよく知っている分野を対象に投資するため、その他の分野であると見向きもされない場合がほとんどです。
多くのがベンチャーキャピタルは、IT系ベンチャーに投資します。中には、ITベンチャーしか投資しないというところも多くなっており、その他の分野としてはバイオ系、工業系や医療系などに加えて、大学などと連携するところも少なくありません。
そのため、ベンチャーキャピタルを正しく選ぶ際には、事業分野が一致していることを確認しておきましょう。ベンチャーキャピタルから融資を受けるメリットとデメリットに関しては以下で詳細を解説しています↓
ベンチャーキャピタルの規模とステージ
ベンチャーキャピタルごとに見られる特色や特性も、選ぶ際の重要なポイントとなります。
まずは規模の違いが第一に挙げられるでしょう。
数億から数十億円以上も出資できる大規模なベンチャーキャピタルもあれば、数百万円から数千万円程度の出資に応じる小規模ベンチャーキャピタルなど、それぞれに違いがあります。
この規模の違いこそが、正しい選び方に大きく影響します。具体的にはベンチャー企業の置かれているステージがポイントになります。
ベンチャー企業やスタートアップでは、大きく分けてシードラウンド、アーリーステージ、シリーズA、シリーズB、シリーズCの5段階があり、それぞれで必要となる出資額が違ってくるからです。
シードラウンド
シードラウンドは、企業する前あるいは新しい事業を立ち上げる前段階に相当するもので、新しいサービスや商品のコンセプトを開発している「種」を意味します。
事業が始まる前なので必要となる資金も少なく、おおよそ500万円~1,000万円程度の出資である場合が多くなっています。
このステージで正しく選ぶなら、シード特化型のベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などが良いでしょう。
アーリーステージ
アーリーステージとは、企業直後の段階をいいます。スタートアップとも呼ばれており、商品やサービスのプロトタイプが完成していて、提供を開始する前後のステージです運転資金や設備資金、人件費など他、色々と頭を悩ませる時期になります。このステージからベンチャーキャピタルとの関係が始まります。
資金調達規模が1,000万円~2億円となり、一定の規模が求められるので、小規模すぎると対応できません。
シリーズA
シリーズAは、事業が本格的にスタートした段階になります。リリースした商品やサービスの認知度を高めたり、アップデートのため市場調査を繰り返したりしますが、赤字経営が継続する場合がほとんどです。
このステージでは設備資金や優秀な人材が必要となるため、さらなる資金が必要になります。
必要となる資金規模は1,000万円~2億程度となっており、やはり実績のあるベンチャーキャピタルを選ぶのが賢明でしょう。
シリーズB
シリーズBは、固定費を上回る利益が出る段階です。事業が軌道に乗り始め、さらなる売上拡大が進むため、経営者や社員にとって体感的にも成長を感じられます。
この頃になると認知度もアップするため信頼を得やすくなりますが、売上の拡大に伴う商品やサービスのサポート体制やアフターケアなどに追われるため、設備資金や人材の確保を怠れません。
必要となる出資金も1ケタ増えることも珍しくなくありません。また、ベンチャーキャピタルからの出資だけでなく、金融機関からの融資も受けやすくなります。
シリーズC
シリーズCは、各ステージを脱する段階であり、IPOあるいはM&Aを意識することでしょう。
企業によっては十分なキャッシュフローを確保できるため、これまでのステージのように資金繰り悩むことも少なくなります。
また海外展開などのために多額の資金が必要になる場合は、ベンチャーキャピタルや金融機関からの融資を検討することになり、規模としては数億円~数十億円程度が多いです。
複数のベンチャーキャピタルから同時に出資を受ける場面もあるかもしれませんが、その際には、事業報告や意思決定などの手間についても考慮しておきましょう。
ベンチャーキャピタルから出資を受ける際の注意点
ベンチャーキャピタルは出資が基本となっており、ベンチャー企業の意思決定について影響力を持ちます。
ベンチャーキャピタルの受諾が必要になってくる
例えば事業の進捗状況や財務報告などの経営状態の説明に加えて、増資や減資、株式分割や事業の一部売却など他の決断をする際には、出資者であるベンチャーキャピタルの受諾が必要であり、会社法だけでなく出資するさいに締結した投資契約書によって定められています。
複数のベンチャーキャピタルから出資を受けていて、同時に重要な意思決定をする際には、出資したベンチャーキャピタルの数だけ説明し、受諾を得なければなりません。
ベンチャーキャピタルの数が多くなるほど意思決定に時間を要するため、ステージを超えるたびにベンチャーキャピタルとの関わり方の検討が求められます。
複数のベンチャーキャピタルから出資を受ける場合は、事業進捗や財務などの説明、会社の意思決定に時間がかかるものの幅広い事業支援を受けられる可能性があります。
具体的には人材採用や資金調達候補となる次のベンチャーキャピタルの紹介、IPO支援やM&Aの紹介など得意とする分野からのアドバイスやサポートです。また、創業者やベンチャーキャピタルとの関係もバランスが取りやすくなるでしょう。
出資比率が高まるほど、ベンチャーキャピタルの発言力も高まるため、経営に強い影響が及ぶ
単体のベンチャーキャピタルからのみ出資を受ける場合は、強い影響化に置かれる可能性について留意しておきましょう。
出資比率が高まるほど、ベンチャーキャピタルの発言力も高まるため、経営に強い影響が及びます。
出資比率のバランスを取るため、他のベンチャーキャピタルからの新たな出資を検討しても反対されたり、発言力を損なわないように出資比率を抑制するよう求められる可能性も考えられるので、目的に合わせて選ぶことが求められます。
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