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【税務調査】個人事業主はいくらから来やすい?時期や確率、何年分?

【税務調査】個人事業主はいくらから来やすい?時期や確率、何年分?

税務調査とは、税務署が納税者に対して、適正な税務申告が行われているかを訪問調査することを指します。

個人事業主として事業を営まれている方であれば、税務調査の対象となりやすい特徴や対策方法は気になる点の1つかと思います。

本記事では、税務調査の対象となる個人事業主の特徴や、税務調査の対策方法について解説します。個人事業主として事業を営まれている方や、税務調査への対策を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

税務調査とは

税務調査とは、税務署が納税者に対して、適正な税務申告が行われているかを訪問調査することを指します。

国税庁が公表する統計データによると、毎年全国の法人・個人事業主の約6%が税務調査を受けており、15年に1回程度の確率で自社に対しても調査が入るという計算になります。

税務調査には、「任意調査」と「強制調査」の2種類がありますので、以下で詳しく説明していきます。

任意調査

任意調査とは、納税者が任意で応じる税務調査です。

多くの事業者が受ける税務調査は、任意調査であることが一般的です。任意調査が行われる場合、事前に調査に入る旨の電話連絡があります。

税務署職員には質問検査権があるため、任意調査であっても黙秘や虚偽の申告をした場合は罰則の対象となります。任意調査は警察の職務質問にイメージが似ており、正当な理由なくして拒否した場合、面倒な立場に自らを追い込むことになります。

任意調査であっても真摯な態度で対応し、聞かれた質問に対して簡潔かつ的確に答えることが、最適な選択肢であるといえるでしょう。

強制調査

強制調査とは、任意調査とは異なり強制的に行われる税務調査です。

強制調査は国税局査察部(俗に言うマルサ)によって行われます。脱税の隠蔽工作が悪質である案件や、脱税額が1憶円を超えている案件に対して、裁判所の令状を取得した上で調査が行われます。

そのため、調査の拒否・妨害は処罰の対象となります。強制調査は、実施の前段階で入念な裏取りが行われているため、調査対象となった際には深刻な事態であると認識しましょう。

法人・個人事業主へ実施される税務調査の割合

ここでは、法人・個人事業主へ実施される税務調査の割合について解説します。

国税庁では、毎年行われている税務調査のデータや割合を公表しているため、データをもとに税務調査の実態を読み取ることができます。以下で詳しく説明していきます。

法人へ実施される税務調査の割合

法人へ実施される税務調査の割合は、国税庁が公表するデータから3%程度となっていることが読み取れます。

国税庁では、所得税の申告件数や消費税に関する税務調査を実施した件数などについて、毎年データを公表しています。

所得税・相続税・消費税など簡易調査を合わせると、例年60万件ほどの税務調査が実施されいます。税務調査が実施される確率は実調率から読み取ることが可能であり、平成28年度の法人税に対する実調率は3.2%でした。

個人事業主へ実施される税務調査の割合

個人事業主へ実施される税務調査の割合は、国税庁が公表するデータから1%程度となっていることが読み取れます。

個人事業主が主な対象となる所得税について、平成28年度の実調率は1.1%でした。しかし、実調率は納税者から申告された内容に対する調査率となるため、無申告の事業者に対する調査は別途実施されていると考えられます。

そのため、無申告事業者を含めたすべての個人事業主に対する実調率は公表値よりも高くなるでしょう。

税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴

ここでは、税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴について解説します。

税務調査の対象となりやすい個人事業主には、

  • 申告をしていない
  • 売上が伸びている
  • 売上に不審な数字がある
  • 経費に不審な数字がある

この様な特徴があります。以下で詳しく説明していきます。

申告をしていない

申告をしていない個人事業主は、税務調査の対象となりやすいです。

税務申告では1年間の売上と経費について申告を行い、税務署では申告内容をもとに漏れや誤りがないかチェックします。

事業者の中には、申告をしないことで税務調査を免れることができると考える方もいますが、税務署では無申告事業者の事業内容や経営状況を常時調査しています。そのため、自身が税務申告をしていなくても、取引先の税務申告や税務調査によって、売上高や経費はある程度把握されてしまいます。

このように、取引先の税務調査から税務調査が及ぶことを「反面調査」と言います。また、国税庁では、所得税及び消費税調査の状況調査を行っています。申告漏れの多い個人事業主の業種についても調査されており、ランキング形式で掲載されています。

ランキング内に入っている業種を営む個人事業主の方は、税務調査の対象となりやすいと言えるため注意が必要です。

順位業種1件当たりの申告漏れ
所得金額
1件当たりの追徴税額
(含加算税)
1プログラマー4,927万円716万円
2畜産農業(肉用牛)3,515万円503万円
3内科医3,339万円805万円
4キャバクラ2,834万円864万円
5太陽光発電2,603万円825万円
6建築士2,325万円624万円
7経営コンサルタント2,268万円477万円
8小売業・犬2,051万円456万円
9不動産代理仲介1,804万円614万円
10商工業デザイナー1,759万円389万円

国税庁 令和2事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

注意

申告をしていない事業者や申告漏れがある事業者に対しては、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されます。

税務調査の結果、無申告であったことが明らかになった場合、本来納めるべき税金の他に10~30%程度の金額を支払うことになります。

売上が伸びている

売上が伸びている個人事業主は、税務調査の対象となりやすいです。

事業規模の拡大に伴い取引数も増え、申告の漏れや誤りも増加していると考えられるためです。

税務調査に際しては、税務署の職員数も限られているため、申告の漏れや誤りによる修正申告の可能性が高い個人事業主に狙いを定めて行います。また、売上や経費の増加額が妥当であるかという点も調査の重要なポイントになります。

売上に不審な数字がある

売上に不審な数字がある個人事業主は、税務調査の対象となりやすいです。

個人事業主の場合、取引先が1年間の取引の合計額を支払調書という形で毎年税務署に提出しています。支払調書を作成している会社と取引している場合、その取引に対する年間の売上額は把握されているものと考えてよいでしょう。

売上は取引によって生じるものであるため、取引先への反面調査によって虚偽の申告はすぐに判明します。

注意

従って、売上の過少申告などを行って場合、取引先が提出した支払調書との整合性が取れなくなり、税務調査が入る可能性が高くなるでしょう。

経費に不審な数字がある

経費に不審な数字がある個人事業主は、税務調査の対象となりやすいです。

一例として、不動産賃貸業を営む個人事業主で、「交際費」や「旅費交通費」などの経費が多額に計上されていると税務署は不審に思います。

また、会社の経費とプライベートの出費との線引きが難しい、自宅兼事務所の家賃や水道光熱費などは全額を経費として計上することはできないため、按分計算による適切な会計処理が必要です。

その他の例として、仕入れた商品を販売する小売業であるにも関わらず、「棚卸資産」が全く計上されていない場合なども、税務調査の対象となる可能性が高くなるため注意が必要です。

個人事業主の税務調査対策

ここでは、個人事業主の税務調査対策について解説します。

税務署に提出した確定申告書などの書類に不審な点があると、個人事業主であっても税務調査が行われる可能性が高くなります。以下で詳しく説明していきます。

領収書の整理

確定申告書を提出した個人事業主は、必要経費として計上した支出の領収書を7年間保存する義務があります。

そのため、必要経費に計上した支出については、年度ごとなど分かりやすい形で保存しておきましょう。個人事業主の場合、事業に要した支出のほかにも、自宅兼事務所の家賃や水道光熱費など、個人的支出を一部含む経費もあります。

このような経費に関しても、領収書を整理して保管するようにしましょう。なお、領収書は原本を補完しておく必要があり、コピーを保管することは認められません。

一方、電子帳簿保存法の施行に伴い、電子データで受け取った領収書や請求書は、印刷した帳票ではなく電子データで保存する必要があります。

誠実に対応する

税務調査に対しては、必要以上に警戒する個人事業主の方も少なくありません。

しかし、税務調査は申告内容が疑わしい事業主に対してだけ行われるものではありません。毎年正しく申告している個人事業主であっても対象になる可能性があり、申告内容に何ら問題もないことが確認されれば、スムーズに税務調査は終了します。

税務署から税務調査の連絡があった際には、誠実に対応することを心がけましょう。また、実際に調査が行われる際も、調査官の求めに応じて書類を提出するようにしましょう。

税理士に相談する

税務調査時の対応を、すべて自身で行うことは大きな負担となります。

税理士と顧問契約を結んでいない場合であっても、税理士へスポット対応ができないかを相談し、可能であれば税務調査に立ち会ってもらいましょう。

税務署から税務調査の電話連絡があった際に税理士へ相談することで、日程調整から全て税理士に依頼することができます。

また、実際の税務調査の前に、必要となる書類の準備や心構えなどを教えてもらうこともできます。個人事業主が自身だけで税務調査に対応する場合、税法の専門家ではないため、調査官の質問や疑問に的確に対応できるとは限りません。

税理士へ相談することで、税の専門家として調査官の質問に対しても適格に応えることができるのです。

まとめ

本記事では、税務調査の対象となる個人事業主の特徴や、税務調査の対策方法について解説しました。

記事の結論

個人事業主へ実施される税務調査の割合は、国税庁が公表するデータから1%程度となっていることが読み取れます。

税務調査の対象となりやすい個人事業主には、

  • 申告をしていない
  • 売上が伸びている
  • 売上に不審な数字がある
  • 経費に不審な数字がある

この様な特徴があります。税務署から税務調査の電話連絡があった際には、税理士へ対応を相談することをおすすめします。

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