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消費税を減らす!法人の節税方法とは?節税テクニックをご紹介!

消費税とは、税金の負担者と納税者が異なる間接税です。

消費税は法人税等とは異なり、利益に対する課税ではないため、赤字であっても納付が必要となります。

このため、多くの経営者の資金繰りを悩ませるものでもあります。

本記事では、消費税の節税方法や節税テクニックについて解説します。消費税の節税方法について知りたい方や、消費税の課税事業者となることを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

課税制度を活用した消費税の節税方法

ここでは、課税制度を活用した消費税の節税方法について解説します。

消費税は、課税売上高の調整や簡易課税制度の選択によって、一定の節税効果を得ることができます。

また、2023年のインボイス制度導入による影響についても、併せて説明していきます。

消費税の仕組み

消費税とは、負担者と納税者が異なる間接税です。

売上にかかる消費税から仕入や経費にかかった消費税を差し引いた残りが、納付すべき消費税の金額となります。

預かった消費税から支払った消費税を差し引くことを仕入税額控除といいます。

法人か個人事業主かに関わらず、消費税の課税事業者には原則として消費税の納税義務があります。

課税売上高の調整

課税売上高の調整によって、消費税を節税する方法があります。

資本金1,000万円以下の中小企業は、設立1年目と2年目は売上高に関係なく消費税の納税義務が免除されます。

また、3年目以降においても、年間の課税売上高が1,000万円以下の場合、2年後の年度は消費税の免税事業者として納税義務が免除されます。

そのため、年間の課税売上高が1,000万円を超えてしまいそうな場合、営業活動の調整などにより課税売上高を1,000万円以内に抑えることで節税効果が得られます。

簡易課税制度の活用

簡易課税制度の活用によって、消費税を節税する方法があります。消費税の課税方法には、「本則課税」と「簡易課税」があります。

本則課税とは、実際の売上や経費から納付額を計算する方法です。

売上にかかった消費税から、支払いにかかった消費税を差し引くことにより、消費税額を計算します。

一方、簡易課税とは、実際の売上や経費からではなく、業種ごとの「みなし仕入率」から消費税額を計算する制度です。

売上にかかった消費税に対して、みなし仕入率を乗じた金額を仕入や経費などに支払った消費税とみなします。

簡易課税は、課税売上高が5,000万円以下の中小企業が対象であり、適用後2年間は変更できない点に注意が必要です。

簡易課税の「みなし仕入率」は業種によって、下表のように定められています。

事業区分みなし仕入率
第1種事業(卸売業)90%
第2種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る))80%
第3種事業(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業)70%
第4種事業(第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業)60%
第5種事業(運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く))50%
第6種事業(不動産業)40%

本則課税と簡易課税は、自社の判断に基づき選択適用が可能ですが、選択によって納税額に大きな差が出る場合があります

簡易課税で設定されているみなし仕入率よりも、実際の仕入率が低い場合、簡易課税を選択した方が有利となります。

一方、実際の仕入率の方が高い場合、本則課税を選んだほうが有利となります。

第1種事業である卸業や第2種事業である小売業では、みなし仕入れ率が高く設定されているため、簡易課税が有利になるケースが多いです。

一方、第6種事業である不動産業では、みなし仕入れ率が低く設定されているため、本則課税が有利になることが多いです。

本則課税と簡易課税は、自分の業種や業態を勘案して最適な制度を見極めるようにしましょう。

また、課税制度の選択に際しては、税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

法人成り

法人成りによって、消費税を節税する方法があります。

法人設立後2年間は免税事業者として消費税の納税義務が免除されます。

そのため、個人事業主から法人成りすることで、消費税の節税効果が得られます。

ただし、法人成りに伴い、利益に対して課税される税目が、所得税から法人税等へ変わります。

税制度や税率等が個人事業主とは異なるため、事業の状況等によっては税負担が増加する可能性もあります。

法人成りに際しては、消費税の税負担のみならず、他の税目を含めて総合的に判断するようにしましょう。

インボイス制度の影響

インボイス制度が免税事業者に与える影響には、取引先の減少が考えられます。

免税事業者はインボイスの発行ができないため、免税事業者から請求書を受け取った取引先は請求金額に係る消費税額について仕入税額控除を適用することができません。

そのため、インボイス制度が導入されれば、免税事業者との取引を減らし、インボイスを発行できる課税事業者との取引を増やす事業者の増加が予想されます。

そのため、課税売上高が1000万円以下で免税事業者であった企業も、課税事業者になることを選択せざるを得ない場合も出てきます。

ただし、簡易課税制度の選択は引き続き有効であるため、必要に応じて活用しましょう。

外注費を活用した消費税の節税方法

ここでは、外注費を活用した消費税の節税方法について解説します。

外注費の活用は、消費税だけではなく源泉所得税や社会保険料も削減できるメリットがあります。

従業員との線引を明確して有効活用していきましょう。

外注費の活用

外注費の活用とは、業務委託契約や請負契約に基づき、外部の人に対して自社の業務の一部を依頼する方法を指します。

外注の活用は、税制上のメリット等から多くの企業が活用しています。

消費税においては、従業員に対しては給与として支払うため、消費税を上乗せして支払うことができません。

一方、外注費では消費税を上乗せして支払うことが可能です。支払った消費税は仕入税額控除の対象となるため、外注費を活用することで支払う消費税の納税額が少なくなります。

源泉所得税や社会保険料も削減可能

外注の活用により、源泉所得税や社会保険料なども削減することができます。

会社が従業員に対して給与を支払う際には、源泉徴収により給与から所得税分の金額をあらかじめ差し引く必要があります。

また、従業員を社会保険へ加入させ、保険料の半分を会社が負担する必要が生じます。

一方、雇用関係のない外注であれば、所得税の源泉徴収や社会保険の加入を行う必要はありません

消費税のみならず、源泉所得税や社会保険料も負担額の大きな項目です。自社の業務の一部を外注することにより、源泉徴収額や社会保険料を削減することが可能となります。

外注費の活用は従業員との違いを明確に

外注費の活用は、従業員との違いを明確にする必要があります

業務委託契約書や請負契約書を締結していても、実質的に従業員と同じ働き方と判断された場合、外注費としての計上を否認され消費税の支払いを命じられる可能性があります。

外注費に該当するか否かについては、国税庁より公表されている判断基準があるため参考にしましょう。

外注費の判断基準においては、「自分以外の人が代わりにできるか」「時間的拘束性があるか」「業務について会社の指揮監督を受けているか」「成果物が滅失しても報酬を受けられるか」「材料や道具代を自分で支払っているか」などがあります。給与と外注費の判断基準については下表にまとめます。

判断基準給与外注費
自分以外の人が代わりにできる×
時間的拘束性がある×
業務について会社の指揮監督を受けている×
成果物が滅失しても報酬を受けられる×
材料や道具代を自分で支払っている×

代替性の有無

代替性の有無とは、自分以外の人が代わりにできるかどうかを指します。

役務の提供を他の者が当事者に代わって提供をできない場合や、当事者が自らの判断で第三者を使用することが認められていない場合は代替性が無いと言えます。

代替性が無い場合、実質的に従業員でるとして給与支払い対象者と判断される可能性があります。

拘束性の有無

拘束性の有無とは、時間的な拘束性があるかどうかを指します。

外注の場合、報酬は時間に応じてではなく成果物に対して支払われます。

これに対して、労働時間に対して報酬が支払われる場合、給与支払い対象者と判断される可能性があります。

指揮監督の有無

指揮監督と有無とは、業務について会社の指揮監督を受けているかを指します。

外注の場合、自己の責任において裁量をもって仕事を進めていきます。

これに対して、指示された作業を遂行している場合、給与支払い対象者と判断される可能性があります。

報酬請求権の有無

報酬請求権の有無とは、成果物が滅失しても報酬を受けられるかを指します。

外注の場合、報酬は成果物にたいして支払われるため、成果物が滅失したケースでは報酬を請求することはできません。

これに対して、労働時間を基準として報酬を受けとる場合、給与支払い対象者と判断される可能性があります。

材料又は用具等の供与の有無

材料又は用具等の供与の有無とは、材料や道具代を自分で支払っているか否かを指します。

外注の場合、職務遂行に必要な旅費・設備・備品等の費用は自己負担となります。

これに対して、職務必要に必要な材料や用具を会社で負担している場合、給与支払い対象者と判断される可能性があります。

まとめ

本記事では、消費税の節税方法や節税テクニックについて解説しました。

消費税は課税売上高の調整簡易課税制度の選択により、一定の節税効果を得ることができます。

また、外注費を効果的に活用することによって、消費税の節税のみならず、源泉所得税や社会保険料の負担を軽減することも可能です。

ただし、業務委託契約書や請負契約書を締結していても、実質的に従業員と同じ働き方と判断された場合、外注費としての計上を否認され消費税の支払いを命じられる可能性がある点に注意が必要です。

「資金の先生」では資金調達や税金に関する相談を受け付けております。

さまざまな方法から最適な選択肢をご提案することが可能です。

消費税の節税方法について知りたい方や、消費税の課税事業者となることを検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

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