法人税については、課税対象となる法人であれば必ず知っておかなければなりません。
なぜなら、法人税の支払い漏れがあると法人の信用問題に大きくかかわるためです。
この記事では、法人税の基礎について解説しますので、法人を設立したての方や今後法人を設立予定の方はぜひご覧ください。
目次
法人税とは?
法人税とは、その名のとおり法人の所得に対して課せられる税金のことです。
個人が払う所得税とは様々な異なる点があるため、それらについて知っておく必要があります。
法人税の課税対象となる法人
法人税の課税対象となる法人は、次のとおりです。
株式会社、有限会社、合名会社、合資会社、医療法人、相互会社、企業組合、労働組合や管理組合など
協同組合等(農業協同組合、信用金庫、労働者協同組合、漁業協同組合、生活協同組合など
これらに該当する法人は、法人税を負担しなければなりません。
ただし、期末資本金が1億円以下の法人は税率が軽減されます。また、協同組合等は、普通法人よりも法人税の税率が低いです。
法人税の税率
法人税の税率は、次の表のとおりです。
年間所得800万円以下の部分 | 年間所得800万円超の部分 | |
普通法人 | 19% | 23.2% |
協同組合等 | 19% | 19% |
かつての法人税の税率は30%を超えていましたが、年々引き下げられてきています。
そのため昔と比べて、個人事業主から法人成りすべきタイミングも変わってきています。
具体的に、年間の利益がどのくらいになったら法人成りした方がお得なのかはケースバイケースであるため、税理士などに相談するといいでしょう。
法人税の計算方法
法人税の計算方法は、こちらのとおりです。
- 法人税額=課税所得×法人税率-控除額
ちなみに、課税対象となるのはあくまで「所得」であり、「利益」ではありませんのでご注意ください。
法人税の申告期限
法人税の申告期限は、個人事業主とは異なり、法人によって異なります。
なぜなら、法人の会計期間は、定款によって法人ごとに定められるためです。
法人の確定申告の期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2カ月以内です。
事業終了後には、会計決算や株主総会などの承認が必要となるため、スケジュールはタイトなものとなります。
また、法人には「中間申告」というものの義務があります。こちらは、事業開始日から6カ月を経過した日から2カ月以内にしなければなりません。
法人税の納付先
法人税の納付先は、法人の本店または主たる事務所の所在地を管轄する税務署です。
法人税の種類一覧
負担すべき法人税は、法人の形態によって変わります。そのため、それぞれの法人税について理解しておきましょう。
各事業年度の所得への法人税
各事業年度の所得に対する法人税とは、一事業年度における法人の所得に対して課されるものです。
基本的に法人税とは、こちらのことを指します。
なお、事業年度とは法人税を課す所得を計算する期間のことで、この期間内の所得に対して法人税が課されます。
各連結事業年度の連結所得への法人税
各連結事業年度の連結所得に対する法人税とは、企業グループを1つの納税単位とする「連結納税制度」で計算した場合の法人税のことです。
すべての子会社をまとめて各連結事業年度の連結所得に対する法人税を適用するか、各子会社にて各事業年度の所得に対する法人税を適用するかは自由に選択できます。
もし各連結事業年度の連結所得に対する法人税を適用する場合は、申告と納税をおこなうのは親会社となり、子会社は連結所得の個別帰属額などを記載した書類を税務署に提出することになります。
特定信託の各計算期間の所得への法人税
特定信託の各計算期間の所得に対する法人税とは、主に信託会社を対象として、特定の信託を運用している場合に課されるものです。
なお信託会社とは、個人や企業などの法人からの信託の設定により財産を預かり管理・運用する会社のことを指します。
退職年金等積立金への法人税
退職年金等積立金に対する法人税とは、退職年金業務等を営む信託会社や保険会社などに対して課されるものです。
法人が雇用する従業員の退職年金として払い込んだ掛金は、払込みをした年度に計上されますが、課税されるのは従業員が退職して年金を受け取ったタイミングです。
退職年金等積立金に対する法人税は、このタイミングのずれに対して課せられます。
まとめ
法人税は、それならではのさまざま特徴があります。
個人が負担する所得税との税率も違えば、納税のタイミングも異なります。
また、法人によって負担すべき法人税もさまざまです。
法人には、法人税の他にも法人住民税や、法人事業税も課せられます。
そのため、これらについてもしっかりと知識をつけておきましょう。
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