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労働基準法の労働時間とは?就業時間との違いなど分かりやすく解説

労働基準法の労働時間とは?

会社経営者であれば、必ずと言っていいほど「労働時間」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、具体的に労働時間とはどのような時間を指すのでしょうか?この記事では、労働時間の概要や就業時間との違い、労働時間に関する制度について解説します。

1.労働基準法の労働時間とは

労働時間には、国が定める「法定労働時間」と、企業ごとに定める「所定労働時間」があります。このうち、労働基準法における労働時間とは、法定労働時間を指します。

2.労働時間と就業時間の違い

労働時間と就業時間の違いは、拘束時間のうちの休憩時間を含むかどうかです。労働時間の場合は休憩時間を含まず、就業時間の場合は、休憩時間を含みます。たとえば、就業時間が9時間で休憩が1時間の場合、労働時間は8時間です。

労働時間についてですが、雇用主から業務指示があったと認められる時間が該当します。そのため、仮に休憩時間中に急な接客対応が発生した場合、その時間は動労時間とみなされます。

労働時間とは、雇用主の指揮命令下で労働者が企業のために働く時間のことです。労働時間は就労時間から休憩などを差し引いた時間で、休憩時間は労働時間に含まれません。雇用主の明示または黙示の指示、すなわち、はっきりと指示された業務と指示があったと認められる業務に労働者が従事する時間は労働時間に当たります。その他、朝礼や待機時間、終業後の片付けなども労働時間の一部です。

休憩時間がどれくらい必要になるのかは、就業時間ではなく、労働時間によって決められます。具体的には、次のとおりです。

  • 労働時間が6時間以上:休憩45分以上
  • 労働時間が8時間以上:休憩60分以上

休憩時間の定めはあくまで最低ラインであるため、より長く休憩時間を儲けることは問題ありません。

3.労働基準法の労働時間に関する主な制度

労働基準法の労働時間に関して、さまざまな制度が設けられております。制度によって、時間外労働時間に上限が設けられたり、労働時間をある程度自由にコントロールできたりします。

①時間外労働協定(36協定)

時間外労働協定(以下、36協定)とは、法定労働時間を超える時間の労働を可能とする制度のことです。また、休日における休日労働も認められます。

なお、これらの時間外労働時間には上限が設定されています。そのため、従業員をいくらでも労働させられるわけではありません。36協定による時間外労働の上限は、1日あたりや1ヵ月あたり、1年あたりでそれぞれ定められています。

36協定を結ぶためには、労働者の過半数で組織する労働組合か、労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定める必要があります。かつ、雇用主との間で書面による契約を締結しなければなりません。

ちなみに、2019年の法改正によって、36協定を違反した場合に罰則が科せられることになりました。具体的には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。

②変形労働時間制

変形労働時間制とは、労使協定または就業規則等において定めることにより、一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、特定の日または週に法定労働時間を超えて労働させられるようになる制度のことです。変形労働時間制には1週間単位、1カ月単位、1年単位のものがあります。

変形労働時間制のメリットは。繁忙期と閑散期において労働時間を調節できることです。たとえば繁忙期は1日10時間労働、閑散期は1日6時間労働、平均8時間労働のようにできます。また、一定期間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲に収まるのであれば、割増賃金を支払う必要がないこともメリットです。

③フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、就業規則等により制度を導入することを定めたうえで、労使協定により、一定期間(1カ月以内)を平均し、1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内で、その期間における総労働時間を定めた場合に、その範囲内で始業・終業時刻を労働者がそれぞれ自主的に決定することができる制度のことです。特にリモートワークの導入や、従業員のワークライフバランスを重視する企業が積極的に採用していることが多いです。

フレックスタイムで制は、必ず勤務しなければならないコアタイムと、いつ出退勤をしても良いフレキシブルタイムを設定できます。また、コアタイムやフレキシブルタイムを設定せず、フルフレックスタイムとすることも可能です。

フレックスタイム制のメリットは、従業員がそれぞれの生活スタイルに合わせた働き方ができ、従業員の満足度が上がることです。たとえば従業員にとっては、お子さんのお迎えや、習い事がある日に早く帰れるなどのメリットがあります。

④みなし労働時間制

みなし労働時間制とは、労働時間の算定が困難な場合に労働時間を所定労働時間に見なせる制度のことです。みなし労働時間制には、「事業場外みなし労働時間制」「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の3種類があります。

事業場外みなし労働時間制とは、事業場外で労働する場合において労働時間の算定が困難な場合に、原則として所定労働時間労働したものとみなす制度のことです。

専門業務型裁量労働制とは、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない19の業務について、実際の労働時間数によらず労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度のことです。

企画業務型裁量労働制とは、事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務において、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使委員会で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度のことです。

4.まとめ

労働時間は、休憩時間を含みません。また、さまざまな協定によって融通を利かせられます。ただし、所定労働時間を超える労働をさせる場合は、必ず割増賃金を支払いましょう。