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交際費は経費どこまで経費になるの?交際費の考え方

取引先との会食や社内の懇親会は、円滑な取引や従業員の士気向上に欠かせません。

しかし、これらに係る費用については、交際費として計上可能なのかどうか迷うケースも少なくないかと思います。本記事では、交際費の概要や対象となる費用とならない費用についてそれぞれ解説します。

会社で経理担当をされている方は、ぜひ参考にしてみてください。

交際費とは

交際費とは、取引先や仕入先のような事業に関係のある相手に対して、接待などを行うために係った費用をいいます。国税庁の定義によれば、接待の他にも「供応」「慰安」「贈答」「これらに類する行為にかかる費用」が交際費として該当します。

交際費は、原則的には全額が法人税の損金扱いとはなりません。しかし、中小企業の場合、特例として年間800万円を上限とした交際費の損金算入が認められています。従って、中小企業にとって交際費は、正しい会計処理により経費計上すれば、節税効果を得ることができます。

交際費に該当する5つの費用

交際費には、取引先との会食費用やお中元・お歳暮の費用、従業員との飲食代など、さまざまな支出が該当します。ここでは、どのような支出が交際費に該当するのかを、具体的に説明していきます。

取引先との会食費用

取引先との会食費用は、基本的には交際費に該当します。

また、取引先だけではなく、仕入先など自社の事業に直接的・間接的に関わっている相手との会食費用であれば、交際費として計上して問題ありません。ただし、1人当たりの費用が5,000円以下の場合は、交際費に該当しません。

自社の従業員との飲食代

取引先や仕入先の社員を含まない、自社の従業員のみで行う飲食の代金も交際費に含まれます。

交際費の相手としては、自社の従業員や役員も含まれるため、接待ではないものの交際費には該当します。

取引先を招待したパーティーなどの費用

取引先を招待したパーティーなどを開催する場合、会場代や飲食代は交際費として計上することが可能です。

タレント等を呼ぶための費用、取引先へのプレゼント代なども、交際費に含まれるでしょう。また、取引先が主催するパーティーに参加するために発生した費用も交際費に該当します。

取引先へのお中元やお歳暮に係る費用

取引先や仕入先へ贈る、お中元やお歳暮にかかる費用も交際費に該当します。

商品券やギフト券などの贈答品についても同様です。その他、冠婚葬祭に関する費用、社内事業やイベントに協力してもらった際の謝礼金についても、交際費として計上することが可能です。

取引先を旅行やゴルフに招待するための費用

取引先の社長や役員、担当者などを旅行に招待するための費用も、交際費として計上することが可能です。

ゴルフや演劇等のイベントに招待する場合も同様です。

交際費に該当しない5つの費用

1人当たり5,000円以下の飲食費や、自社の社員のみが参加するイベントの費用は、一般的に交際費には該当しません。ここでは、どのような費用が交際費から除外されるのか、具体的に説明していきます。

1人当たり5,000円以下の会食費用

取引先や仕入先との会食であっても、1人当たり5,000円以下の会食費用である場合、交際費に該当しません。

これらの会食費用は交際費から除外され、会議費として計上することが可能です。ただし、会食をした日付、参加者の氏名や関係、参加人数、合計金額や飲食店名などを記載した書類を保存しておく必要があり注意が必要です。

自社の従業員のみが参加するイベント費用

自社の従業員のみが参加する、運動会や旅行、ゴルフコンペ等のイベント費用は交際費には該当しません。

前述のとおり、取引先や仕入先が参加するイベント費用については、交際費に該当します。

打合せのための飲食代

取引先の社長や担当者と打ち合わせをしながら食事をした場合、それらの費用は交際費ではなく会議費に該当します。

また、取引先と社内で会議を行う際のお弁当代やお茶代、喫茶店で打合せする場合の費用も交際費には該当しません。

カレンダー等を贈るための費用

取引先や仕入先に対して、カレンダーやうちわなどを贈るための費用も、交際費には該当しません。

また、手帳や手ぬぐい、ステッカーなどについても同様です。これらは、商品券やギフト券などとは異なり、不特定多数の人に対する宣伝的効果を意図しています。従って、交際費ではなく広告宣伝費として計上することが一般的です。

記事を書くための取材費用

新聞や雑誌などの記事を書くために、喫茶点などで取材をするケースがありますが、その際にかかった飲食代は交際費には該当しません。

同様に、テレビ番組やネットニュースを作成するための取材費用についても交際費に当たりません。

交際費を経費処理する際の4つのポイント

交際費として経費処理する場合、上限金額や領収書の取扱いについて注意が必要です。

ここでは、交際費を経費処理する際の4つのポイントについて解説します。

経費計上できる金額には上限がある

交際費は、全額を経費として計上できるわけではありません。

事業年度や資本金の金額によって、上限が定められているため注意が必要です。一例として、平成26年4月1日以降に開始する事業年度で、資本金が1億円以下である場合、1年間に交際費として計上できる金額の上限は「接待飲食費の50%」か「800万円」のいずれかとなります。

領収書の保管が必要

交際費に限らず、さまざまな支出を経費計上する際には、領収書の保管が必要です。

領収書は、事業に関する支出であったことを証明する重要な書類です。接待をした日付、参加者の氏名や関係、参加人数、合計金額や飲食店名などが、しっかり記載されているか確認しましょう。

非課税仕入の取扱いに注意

交際費のなかでも。課税仕入か非課税仕入かは費用によって細かく分けられています。

例えば、接待での飲食やゴルフ代は課税仕入ですが、商品券やギフト券などを贈った場合の費用は非課税仕入です。これらは、分類が細かいため取扱いに注意しましょう。

会議費や福利厚生費との混同に注意

交際費は、会議費や福利厚生と混同してしまう可能性があるため注意が必要です。

交際費には上限がありますが、会議費には上限が無いため、可能な限り会議費として経費処理することで節税効果を高めることができます。

まとめ

本記事では、交際費の概要や該当する費用・しない費用、経費計上する際のポイントなどについて解説しました。

交際費は、会議や福利厚生費などと混同しやすく、経費計上する際には取扱いが難しく感じる項目の一つです。しかし、内容を把握し適切な会計処理を行うことで節税に繋げることが可能ですので、経理担当者の方はしっかりと理解を深めるようにしましょう。