将来のための投資手段として人気のあるiDeCoと企業型DC。
これらの目的は同じですが、掛金の限度額や選択可能な金融商品など、さまざまな違いがあります。
では、iDeCoと企業型DCどちらがお得なのでしょうか。
目次
そもそもなぜiDeCoと企業型DCが注目されているのか
まず、iDeCoと企業型が注目されている理由ですが、これは老齢年金制度崩壊の不安が背景にあります。
現在の日本は深刻な少子高齢社会であり、今後も財政状況は厳しくなると予想されています。
そのため、老齢年金制度を継続できるという保障がないのです。
そうなると、日本国民は自分の身は自分で守らなければなりません。
そこで、将来のための資産運用手段として、iDeCoと企業型DCが注目されているのです。
iDeCoと企業型DCの違い
まず、iDeCoと企業型DCの違いについて見ていきましょう。
①加入対象者
iDeCo | 国民年金第1号被保険者 国民年金第2号被保険者 国民年金第3号被保険者 |
企業型DC | 厚生年金被保険者(公務員は含まない) |
②掛金の限度(拠出限度額)
iDeCo | 自営業者やその家族:月額68,000円 会社員:月額23,000円* 公務員:月額12,000円 専業主婦(夫):月額23,000円 |
企業型DC | 確定拠出年金以外の企業年金がない場合:月額55,000円 確定拠出年金以外の企業年金がある場合:月額27,500円 |
③積立期間
iDeCo | 国民年金第1号被保険者 国民年金第2号被保険者 国民年金第3号被保険者 |
企業型DC | 厚生年金被保険者(公務員は含まない) |
④掛金に関する税制優遇
iDeCo | 全額所得控除が可能 |
企業型DC | 事業主掛金:全額非課税 加入者掛金:全額所得控除が可能 |
⑤掛金と社会保険料との関係
iDeCo | 掛金は加入者個人が所得の中から拠出 |
企業型DC | 事業主掛金:給与ではなく、会社の福利厚生費であるため社会保険料の算定基礎の対象外 加入者掛金:加入者個人が給与の中から拠出するため、社会保険料が控除された後の手取り所得から拠出 |
⑥運用商品
iDeCo | 個人が加入したプランを金融機関等(運営管理機関)が選定している運用商品から選択 |
企業型DC | 会社の委託を受けた運営管理機関が選定した運用商品から選択 |
⑦運営にかかる費用の負担
iDeCo | 個人負担 |
企業型DC | 会社負担 |
⑨制度開始の手続き
iDeCo | 個人が金融機関等(運営管理機関)を選択し、加入申込の手続をする |
企業型DC | 会社の委託を受けた運営管理機関を通じて手続をする |
iDeCoと企業型DCはどっちがお得?
iDeCoと企業型DCには、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。そのため、あなたにとって好ましい方を選択しましょう。
①iDeCoのメリットとデメリット
iDeCoのメリットは、金融機関や運用商品を自由に選べることです。
また個人事業主の場合は、企業型DCよりも掛金の上限額が高いことも魅力。そのため、節税効果が高いです。
その一方でiDeCoには、全ての手数料が自己負担になるというデメリットがあります。
iDeCoの手数料は、年間約2,000円〜約8,000円と金融機関によって異なります。
②企業型DCのメリットとデメリット
企業型DCのメリットは、掛け金は会社が負担であるものの、給与には当たらないので非課税となることです。
さらに、口座管理料などの事務手数料も会社が負担してくれる点も魅力。
その一方で企業型DCには、iDeCoよりも選択できる金融機関や運用商品の幅が狭いというデメリットがあります。
また、役職や勤続年数によっては掛金の上限額が低くなることも難点です。
iDeCoと企業型DCは併用可能
iDeCoと企業型DCは、併用ができます。
ただし、勤務先の企業が企業型確定拠出年金の規約でiDeCoと企業型DCの併用を認めていることが条件です。
ただし、2022年10月の制度改正によって、この条件が緩和される予定です。
まとめ
iDeCoと企業型DCは、どちらも低リスクで資産運用ができ、かつ節税効果も大きいです。
そのため、運用資金がある場合はぜひ加入をおすすめします。
どちらを選ぶかは、それぞれのメリットとデメリットを比較検討して決めてみてください。