海外起業の際の資金調達方法には、大きく分けて「融資」「補助金」「助成金」の3つの方法があります。
海外起業の際には、事業の計画はもちろんですが、資金調達についても検討する必要があります。これらの資金調達方法の特徴や違いはどのようになっているのでしょうか。
本記事では、海外起業の際の資金調達方法について解説していきます。海外起業を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
海外起業に必要なコスト
海外企業に必要なコストは、進出する国や業種などによって大きく異なるため、一概に算出することはできません。起業に必要な資金は500万円未満に収まることが一般的と言われています。必要コストの内訳には、開業時には資本金・会社の登記費用・事務所の賃貸契約費用・パソコン等の初期費用がかかります。また、開業後には税理士の費用・現地で社員を雇う人件費、自身の生活費などの運転資金がかかります。
(参考:2021年新規開業実態調査https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_211129_1.pdf)
また、国内外で必要資金が大きく変わることはありませんが、その国の物価や為替レートの影響を受ける可能性はあります。
海外起業の必要資金を融資で調達することは非常に難しいです。
金融機関の融資審査では、企業や事業の実績を重視するため、融資による資金調達を行う場合、まずは国内で起業し事業の実績を作るという手順を踏む必要があります。
そのため、新規起業の場合は自己資金の範囲で小さく始め、軌道に乗ってきてから融資等の方法により資金を増やし、事業拡大を図っていく方法が確実でしょう。
日本政策金融公庫の海外展開資金
日本政策金融公庫の海外展開資金を活用するという選択肢もあります。
同融資制度は、その名の通り、海外に事業を展開する際に必要となる資金を融資する制度です。
融資限度額は7,200万円、うち運転資金は4,800万円です。
返済期間は設備資金で15年以内、運転資金で5年以内となっています。
利率は返済期間にとって若干変動しますが、概ね0.9%~2.3%の範囲に収まっています。
海外展開では国内での事業拡大に比べて多くの資金が必要となるため、通常の融資制度よりも限度額が高めに設定されています。
海外展開資金の申込時には、下記の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 海外展開事業が本邦内での事業の延長と認められる程度の大きさであること
- 日本国内で事業活動拠点が継続すること
- 取引先の海外進出、原材料の供給事情、労働力不足、国内市場の縮小のいずれかを理由に海外進出をすること。
海外起業を行う方で融資による資金調達を検討されている方は、ぜひ一度活用を検討してみてください。
海外起業の資金調達の補助金・助成金や融資の違い
海外起業の資金調達方法には、補助金・助成金や融資などがあります。
ここでは、融資と補助金・助成金の違い、補助金と助成金の違いについて解説していきます。
それぞれの方法を踏まえた上で、自社にとって最適な選択肢を決定しましょう。
「融資」と「補助金・助成金」の違い
融資と補助金・助成金の違いは、返済義務の有無にあります。
融資は金融機関から受けるのが一般的であり返済義務があります。
また、元金の支払いとは別に利息を支払う必要があります。
これに対して、補助金・助成金は条件を満たすことで受け取ることでき、返済義務がありません。
「補助金」と「助成金」の違い
補助金と助成金は、どちらも国や地方自治体から交付される返済義務のない資金です。
しかし、両者には主導する省庁や実施目的において違いがあります。
補助金制度は、経済産業省が主導となり実施している制度です。
中小企業の活性化を目的として、補助金制度の要件を満たした事業主が制度に申請し、審査に通過した場合のみ補助金を受け取ることができます。
これに対して助成金制度は、厚生労働省が主導となり実施している制度です。
労働環境の改善や雇用対策を目的としており、助成金制度の要件を満たしている事業主は申請するだけで受け取ることが可能です。補助金制度と違い、審査を経る必要が無い点が特徴です。
海外起業の資金調達の補助金・助成金制度
ここでは、海外起業時に活用できる補助金・助成金制度について紹介していきます。海外起業の資金調達を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
経済産業省の補助金制度
経済産業省が主催する補助金制度には、「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」などが代表的なものとして挙げられます。
いずれも、「起業促進」「地域活性化」「女性若者の活躍支援」「中小企業振興」「技術振興」を目的として補助事業を行っています。
また、国内企業の海外進出を促進するための補助金制度も多数公募されています。
各制度について確認し、自社の事業に合った補助金の活用をおすすめします。
厚生労働省の海外起業助成金制度
厚生労働省が主催する助成金制度には、「雇用調整助成金」「キャリアアップ助成金」「両立支援等助成金」などが代表的なものとして挙げられます。
いずれも「雇用促進」「労働者の職業能力向上」などの施策に対する助成を目的として事業を行っています。
補助金のように審査を経る必要が無く、申請要件を満たすことで受給できるため、ぜひ活用したい制度です。
市区町村など独自の海外起業補助金/助成金
市区町村においても、独自の補助金・助成金を募集している場合があります。
補助金・助成金の目的やタイミングは様々ですが、地域の活性化や若者支援等が一般的です。
その他、起業講座の開講など情報提供面でのサポートも積極的に行われています。
自治体が提供する情報をこまめにチェックすることで、有効に活用していきましょう。
政府系金融機関や大手企業、各種財団独自の海外起業補助金/助成金
政府系金融機関や大手企業では、優秀な事業計画に対して資金を援助するコンテストの実施、各種財団による研究開発助成金などがあります。
海外起業を支援する補助金や助成金も多数あるため、こまめに情報収集を行うようにしましょう。
補助金・助成金制度に関する情報収集
補助金・助成金制度は、制度によって募集のタイミングも異なるため、定期的な情報収集が必要です。
情報取集を行う上で有用なサービスを下表にまとめましたので、海外起業の補助金・助成金を探す際に利用してみてください。
中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21の助成金検索 | https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/support |
公益財団財団法人助成財団センターの助成金情報 | http://www.jfc.or.jp/grant-search/guide/ |
ミラサポの補助金・助成金情報ヘッドライン | https://www.mirasapo.jp/subsidy/ |
外務省の海外ビジネス展開支援制度 | http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/local/database/index.html#advance |
公益財団法人東京都中小企業振興公社の東京都知的財産総合センター | http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/index.html |
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本記事では、海外起業の際の資金調達方法について解説してきました。
海外起業の際の資金調達には「融資」「補助金」「助成金」の選択肢があります。
それぞれの違いを理解して、自社にとって最適な方法を選ぶようにしましょう。
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