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制度融資の審査を通して資金調達するには

制度融資の審査を通して資金調達するには

今回は制度融資の基本事項とメリット・デメリットなどを説明し、制度融資の審査を通して資金調達するポイントについても触れます。

一部のサイト記事などで、制度融資について誤解を生むような表現もあると感じている銀行員が、融資審査をする立場で解説しますので、にしてください。

制度融資の審査を通して資金調達する~制度融資とは?

制度融資とは、国や都道府県など地方自治体が専門の融資制度を創設し、その条件を満たした人が利用申し込み可能な、信用保証協会保証付融資です。


いきなり説明文が多くなりましたので、まず制度融資の特徴をいくつかにわけて、わかりやすく解説します

制度融資の特徴


「制度融資」という融資の種類は無い
制度融資は信用保証協会保証付の融資
制度融資に「お墨付き」を与えるのが自治体
制度融資の保証をするのが信用保証協会
制度融資を審査して融資するのは金融機関

制度融資の特徴1.「制度融資」という融資の種類は無い?

融資の種類には日本政策金融公庫などの「公的融資」や、信用保証協会が融資の保証をする「保証付融資」(いわゆるマル保融資)、そして金融機関が保証協会などを介さずに直接融資する「プロパー融資」などがあります。
しかしながら「制度融資」という融資種類はなく、信用保証協会保証付のマル保融資の一種という位置づけになります。

一部のサイト記事で「制度融資は~公的融資です」といった表記を見受けますが、銀行員としてこの表現を妥当とは思えません。

制度融資の特徴2.制度融資は信用保証協会保証付の融資

繰り返しになりますが、制度融資は信用保証協会保証付融資です。
しかし、信用保証協会融資の一種とはいえ、融資の申し込み、審査の流れが他の保証付融資とは異なる点があります。
それは窓口が自治体、信用保証協会、そして金融機関の3者になっているところです。


東京都の制度融資は、東京都と東京信用保証協会と指定金融機関の三者協調のうえに成り立っている融資制度で、都内の中小企業者が金融機関から融資を受けやすくするための制度です。
東京都の制度融資を受けるには東京信用保証協会の保証が必要になります。
東京信用保証協会は、経営者の人物、資金使途、返済能力等を総合的に判断して保証の諾否や保証金額を決定します。

東京都/東京都産業労働局/東京都中小企業制度融資


埼玉県では、中小企業の皆さまに事業に必要な資金を円滑に調達していただけるよう、県内金融機関、埼玉県信用保証協会及び県内商工会議所・商工会などと協力した制度融資を行っています。

埼玉県/中小企業向け制度融資

制度融資の特徴3.制度融資に「お墨付き」を与えるのが自治体

制度融資は信用保証協会保証付融資ですが、窓口に自治体が加わるのが最大の特徴です。


それは、中小企業が円滑に資金調達できるように条例などで特別な融資制度を創設し、有利な条件(低利、固定金利が多い)で利用できる制度設計になっています。

たとえば埼玉県の制度融資では「一般貸付」の場合、運転資金で5,000万円まで利用可能、返済期間は最長10年で、そのときの借入利率は固定金利で1.4%となっています。

埼玉県/令和3年度埼玉県中小企業制度融資のご案内

国や県などの自治体は融資制度を創設し、低利で固定金利を実現させたり、場合によっては利子補給(最近ではコロナ関連の実質無利子融資などがある)をしたりといったフォローはしますが、あくまで保証するのは信用保証協会であり、そして審査し融資をするのは金融機関です。そのため、自治体の立ち位置を「お墨付きを与える」と表現しているのです。
この説明を図で示している静岡県制度融資の引用でイメージしてください。

静岡県/中小企業向け制度融資とは?

制度融資の特徴4.制度融資の保証をするのが信用保証協会

制度融資も、信用保証協会が保証しなければ銀行も融資はしません。
制度融資の利用が可能な会社でも、信用保証協会の保証なしでは制度融資は利用できないのです。

制度融資の特徴5.制度融資を審査して融資するのは金融機関

制度融資の利用が可能だと自治体がお墨付きを与え、信用保証協会が保証をするという2つの前提条件が揃って、やっと金融機関では制度融資を実行します。
制度融資とは言っても、あくまでお金を貸すのは金融機関です。
自治体でお墨付きを与えても、そして信用保証協会が保証すると言っても、金融機関の融資審査を通らなければ、制度融資を借りることはできません。

制度融資審査のポイント3選


制度融資を利用して融資を受けたいとき、そもそもどこに申し込めばいいのでしょうか?制度融資も信用保証協会保証付融資なので、申し込みは金融機関がその窓口となります。


では、制度融資の審査を通すために覚えておきたいポイントはなんでしょう?ここでは私が考える3つを紹介します。


制度融資を利用できる「条件」と制度融資を受けられる「条件」は違う制度融資も他の融資と基本的性格は変わらない。制度融資だけの「コツ」はあるが、必ず通用するわけではない。

制度融資審査のポイント1.制度融資を利用できる「条件」と制度融資を受けられる「条件」は違う

制度融資を利用できる「条件」を満たしているからといって、必ず制度融資を利用できるわけではありません。

制度融資を利用できる条件とは、あくまで「制度融資の対象者であるというだけ」で、必ず融資を受けられるわけではないのです。たとえば東京都の制度融資では利用者の条件として、下記のように定められています。

ご利用いただける方
中小企業者又は組合で、次の条件を全て満たすことが必要です。
都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象となる業種を営んでいること。
(ただし、一定の業歴要件が必要となる場合があります。)
事業税その他租税の未申告、滞納がないこと。
(ただし、完納の見通しが立つ場合などはこの限りではない。)
許可、認可、登録、届出等が必要な業種にあっては、当該許認可等を受けている(又は、受ける)こと。

東京都/東京都産業労働局/東京都中小企業制度融資/お申込み条件

要は、普通に都内で事業を営んでいる事業者と言っているわけで、これが融資を受けられる条件ではないことは、おわかり頂けると思います。
(*制度融資にはその他にもさまざまな利用条件がありますので、必ず確認してください)

制度融資審査のポイント2.制度融資も他の融資と基本的性格は変わらない

制度融資は信用保証協会保証付融資なので、基本的な性質は同じです。


融資を受けるには業績や過去の融資返済履歴などをもとに審査を受け、その審査が通らなければ制度融資を受けることはできません。


制度融資だからといって、審査が特別にゆるいなどということはありません。ネット記事の一部では、制度融資の公的な性質(自治体がお墨付きを与える)を強調して、あたかも審査が緩いかのような記載を見受けることがあります。


しかし、制度融資だからと言って審査基準は他の融資となにも変わりません。
私も銀行員として多くの制度融資審査をして、ダメなモノは審査落ちにしてきましたのでそう断言できます。

制度融資審査のポイント3.制度融資だけの「コツ」はあるが、必ず通用するわけではない

とはいえ、制度融資は自治体からのお墨付きがあるので、一概に容赦なく審査落ちにしてばかりではありませんでした。特別扱いではないのですが、レアケースとして特別に審査が通った例もあるのです。

ただし、あくまでレアケースなので、すべての人に通用するわけではありません。

以下で制度融資についてのメリットデメリットを紹介しています↓

まとめ~制度融資の審査を通して資金調達するには?

最後のまとめとして、上記したレアケースについて触れます。

記事の結論

制度融資も信用保証協会融資なので、融資申し込みの窓口はあくまでも金融機関です。

常日頃から融資取引がある金融機関に制度融資の相談をするのは当然な流れで、それが融資手続きをスムーズに進める基本的な流れです。

しかしながら、一部の制度融資は地域の商工会が窓口になっている場合があります。また自治体の窓口や、直接信用保証協会に相談できる場合もあります。


仮に、このようにして商工会や自治体、あるいは信用保証協会であらかじめ制度融資利用の話しが煮詰まっていた場合、金融機関ではむげに断わりにくいという事情もあるのです。

もちろん、業況や将来性などあくまで融資審査の基準は変わらないので、すべての会社に融資できるわけではありませんし、延滞がある会社など「ダメなものはダメ」です。

しかし、融資審査が微妙な状況なら「商工会やお役所もお墨付きを与えているから」といった理由で、(制度融資でなければことわっていた会社でも)審査が通った経験があります。

繰り返しますが「ダメなものはダメ」です。しかし、そこまでのレベルでないなら、公的なバックアップには影響力があります。
これはぜひ覚えておいてください。

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