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マイクロ法人の社会保険料はいくら?年間71万円削減も可能な驚きの節約効果を徹底解説

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はじめに

個人事業主の方にとって、社会保険料の負担は大きな悩みの一つです。特に所得が増えるほど国民健康保険料や国民年金の負担は重くなり、経営を圧迫する要因となります。そこで注目されているのが「マイクロ法人」という手法です。

マイクロ法人を活用することで、個人事業主の社会保険料を大幅に削減できる可能性があります。本記事では、マイクロ法人の社会保険料について詳しく解説し、どの程度の節約効果が期待できるのか、具体的な金額とともにご紹介します。

マイクロ法人とは何か

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マイクロ法人は、従業員を雇わずに代表者1人で経営する小規模な法人のことです。個人事業主が法人を設立し、両方を同時に運営する「二刀流」の形態を取ることが多く、社会保険料の最適化を主な目的として活用されています。

マイクロ法人の基本的な仕組み

マイクロ法人では、代表者が自身に対して役員報酬を支払う形で収入を得ます。この役員報酬は定期同額給与として設定し、年度初めから3ヶ月以内に決定する必要があります。毎月一定額の支給が可能になり、給与と同様に源泉徴収も必要となります。

個人事業主として得ていた収入の一部をマイクロ法人からの役員報酬として受け取ることで、社会保険料の負担構造を大きく変えることができます。これにより、国民健康保険や国民年金から、健康保険や厚生年金に切り替えることが可能になります。

二刀流による運営方法

マイクロ法人と個人事業主の二刀流では、収入源を適切に分散させることが重要です。例えば、安定した収入部分をマイクロ法人で処理し、変動の大きい収入部分を個人事業主として処理するという使い分けが可能です。

この運営方法により、社会保険料の負担を最小限に抑えながら、法人運営のメリットも享受できます。ただし、適切な会計処理と税務対応が必要となるため、専門家のサポートを受けることが推奨されます。

マイクロ法人設立の目的

マイクロ法人設立の主な目的は社会保険料の削減ですが、それだけではありません。法人税の適用による節税効果や、家族を扶養家族として社会保険に加入させることができるメリットもあります。

また、将来的な事業拡大を見据えた準備としても有効です。個人事業主から法人への移行を段階的に進めることで、リスクを抑えながら事業の成長に対応できる体制を構築できます。

社会保険料の削減効果

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マイクロ法人を活用することで得られる社会保険料の削減効果は非常に大きく、個人事業主の所得水準や扶養家族の有無によって、その効果は大きく変わります。具体的な削減額を理解することで、マイクロ法人設立の判断材料となります。

扶養家族がいない場合の削減効果

扶養家族がいない個人事業主の場合、年収200万円以上であればマイクロ法人の設立を検討する価値があります。年間所得200万円の個人事業主がマイクロ法人との二刀流を行うと、約18万円の社会保険料を削減できる見込みがあります。

前年所得150万円の個人事業主の場合、扶養なしでは年間39万2,303円の社会保険料がかかりますが、二刀流の場合は年間26万6,508円と大幅に抑えることができます。この差額は約12万6,000円となり、マイクロ法人の維持費を考慮しても十分な節約効果が期待できます。

扶養家族がいる場合の削減効果

扶養家族がいる場合は、年収に関係なくマイクロ法人の設立を検討することが推奨されます。扶養家族1人の場合は約33万円、2人の場合は約40万円、3人の場合は約46万円の社会保険料を削減できる可能性があります。

例えば、前年所得150万円の個人事業主が配偶者と子2人を扶養している場合、個人事業主のままでは年間66万1,663円の社会保険料がかかりますが、マイクロ法人を活用すれば年間26万6,508円まで削減できます。この差額は約39万5,000円となり、非常に大きな節約効果が得られます。

高所得者の場合の削減効果

所得が高くなるほど、マイクロ法人による社会保険料削減のメリットは大きくなります。所得が400万円の場合、国民健康保険料は48万円ですが、マイクロ法人の役員報酬を70万円に設定すれば、社会保険料は26万円まで抑えられます。

所得が1,000万円の場合は、71万円もの保険料を削減できる可能性があります。年間所得600万円の個人事業主がマイクロ法人を設立して役員報酬を年間300万円に設定すれば、国民健康保険料が約60万円から約30万円に減少し、年間約62万円の社会保険料を削減できます。

役員報酬の設定方法

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マイクロ法人で社会保険料を最適化するためには、役員報酬の設定が極めて重要です。報酬額によって社会保険料の等級が決まり、適切な設定により大幅な負担軽減が可能になります。ここでは、具体的な金額設定について詳しく解説します。

最安の1等級を狙う設定

役員報酬を月額63,000円未満に設定すれば、健康保険料と厚生年金保険料の最安の1等級に該当し、大幅な社会保険料の削減が可能です。具体的には、健康保険料と厚生年金保険料の合計が年間75万円以下になります。

最も合理的な設定は、年額756,000円(月額63,000円×12か月)です。この金額設定では、健康保険料と厚生年金の合計負担額が月額10,905円と最も低コストになります。会社負担分も含めて考えると、非常に効率的な設定と言えるでしょう。

所得税もゼロにする設定

役員報酬を月額45,000円以下に設定すれば、所得税もゼロになるため、社会保険料と所得税の両方を最安に抑えることができます。年間では54万円以下の設定となり、会社が負担する社会保険料は約14万円となります。

この設定により、マイクロ法人の活用効果を最大化できます。ただし、役員報酬を抑えすぎると法人の利益が圧縮され、法人税の負担が大きくなる可能性があるため、会社と個人の負担のバランスを取ることが重要です。

報酬設定時の注意点

役員報酬は定期同額給与として設定する必要があり、年度途中での変更は原則として認められません。そのため、年度初めから3ヶ月以内に慎重に決定することが重要です。誤って高く設定すると、かえって保険料が増加する可能性があります。

また、役員報酬には法人税法上の経費として認められるための要件があり、適切に設定しないと税務調査で否認されるリスクがあります。専門家のアドバイスを受けながら、適正な報酬額を設定することが不可欠です。

具体的な保険料の計算例

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マイクロ法人の社会保険料について、具体的な金額を示すことで、実際の負担額を明確にします。個人事業主との比較を通じて、削減効果を数値で確認できるよう詳しく解説します。

マイクロ法人の基本的な保険料

マイクロ法人で役員報酬を適切に設定した場合の社会保険料は以下のようになります。本人の年金保険料は96,624円、健康保険料は34,728円です。合計で年間約13万円の負担となります。

一方、親族の年金保険料、健康保険料、所得税、住民税は全て0円となります。法人の社会保険料や法人税等の税金は発生しますが、個人事業主と比べて社会保険料の負担が大幅に軽減されるのが特徴です。

個人事業主との比較表

所得額 個人事業主(国民健康保険) マイクロ法人(役員報酬70万円) 削減額
400万円 48万円 26万円 22万円
600万円 60万円 30万円 30万円
1,000万円 97万円 26万円 71万円

維持費を含めた総合的な計算

マイクロ法人の維持には、社会保険料以外にも様々な費用がかかります。社会保険の手続きを専門家に依頼する場合の代行費用、法人税の申告費用、その他の維持費を含めると、年間のランニングコストは合計100万円ほどかかると考えられます。

しかし、社会保険料の削減効果が大きい場合、これらの維持費を上回る節約効果が期待できます。特に扶養家族がいる場合や高所得の個人事業主の場合は、維持費を考慮しても十分なメリットがあります。

注意点とデメリット

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マイクロ法人による社会保険料削減には大きなメリットがありますが、同時に注意すべき点やデメリットも存在します。これらを十分に理解した上で、マイクロ法人の設立を検討することが重要です。

将来の年金受給額への影響

マイクロ法人で役員報酬を低く設定すると、厚生年金の保険料も低くなり、将来受け取る年金額が少なくなる可能性があります。国民年金から厚生年金に切り替わることで、一定の保障は得られますが、報酬額に応じた年金額となります。

このため、将来の年金受給額の減少を補うために、自力での老後資金運用が必要になります。iDeCoや小規模企業共済などの制度を活用し、長期的な資産形成を計画することが重要です。

法人維持にかかる手間とコスト

マイクロ法人の設立には手間とコストがかかります。法人設立の手続き、定期的な法人税申告、社会保険の手続き、年度末の決算業務など、個人事業主にはない業務が発生します。

また、赤字であっても法人住民税の均等割(年間約7万円)の納付が必要で、これは精神的・経済的な負担となります。専門家に依頼する場合は、さらに費用がかかるため、総合的なコストを事前に計算することが大切です。

税制改正リスク

マイクロ法人を活用した節税スキームは、税制や保険制度の変更により影響を受ける可能性があります。将来的に制度が変更されれば、現在の節税効果が得られなくなるリスクがあります。

また、税務調査で否認されるリスクもあり、役員報酬の設定や事業実態について適切な説明ができるよう準備しておく必要があります。専門家のアドバイスを受けながら、適法な範囲で運営することが不可欠です。

まとめ

マイクロ法人を活用することで、個人事業主の社会保険料を大幅に削減することが可能です。役員報酬を月額63,000円未満、さらには45,000円以下に設定することで、社会保険料と所得税の両方を最安レベルに抑えることができます。特に扶養家族がいる場合や高所得の個人事業主の場合、年間数十万円の節約効果が期待できます。

しかし、将来の年金受給額の減少、法人維持にかかる手間とコスト、税制改正リスクなどのデメリットも存在します。マイクロ法人の設立を検討する際は、これらの要素を総合的に考慮し、事前に詳細なシミュレーションを行うことが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、自身の状況に最適な選択をすることをお勧めします。

よくある質問

マイクロ法人とは何ですか?

マイクロ法人は、従業員を雇わずに代表者1人で経営する小規模な法人のことです。個人事業主が法人を設立し、両方を同時に運営する「二刀流」の形態を取ることが多く、社会保険料の最適化を主な目的として活用されています。

マイクロ法人による社会保険料の削減効果はどのくらいですか?

マイクロ法人を活用することで、扶養家族がいない場合は年間約12万6,000円、扶養家族がいる場合は約39万5,000円、所得が高い場合は年間約62万円といった大幅な社会保険料の削減が期待できます。ただし、法人維持にかかるコストも考慮する必要があります。

マイクロ法人の役員報酬はどのように設定すべきですか?

役員報酬を月額63,000円未満、さらには45,000円以下に設定することで、社会保険料と所得税の両方を最安レベルに抑えることができます。ただし、報酬額が低すぎると法人の利益が圧縮され、法人税の負担が大きくなる可能性があるため、バランスを取ることが重要です。

マイクロ法人にはどのようなデメリットがありますか?

マイクロ法人にはいくつかのデメリットがあります。将来の年金受給額の減少、法人維持にかかる手間とコスト、税制改正リスクなどが主なものです。これらの要素を十分に理解した上で、自身の状況に最適な選択をすることが重要です。