目次
はじめに
合同会社を設立したばかりの経営者にとって、確定申告は重要な義務の一つです。申告方法には白色申告と青色申告の2種類がありますが、それぞれに特徴とメリット・デメリットが存在します。
合同会社の申告義務について
合同会社は株式会社と同様に、法人税、法人住民税、法人事業税、消費税などの納税義務が発生します。赤字であっても確定申告の義務があり、無申告のまま放置すると延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があります。
売上がゼロや赤字決算であっても、確定申告を怠ると法人税の青色申告の承認が取り消され、欠損金の繰越ができなくなるリスクがあります。また、法人住民税の均等割も未納となり、延滞金の対象になるため注意が必要です。
白色申告と青色申告の基本的な違い
白色申告は事前申請なしで始められる手軽な選択肢となっており、特に設立間もない法人や初めての確定申告に取り組む法人にとって取り組みやすい申告方法です。一方で、税制面での優遇が少なく、節税効果も限定的という特徴があります。
青色申告は複式簿記による記帳や損失の繰越など、様々な税制上の特典を受けられますが、「青色申告承認申請書」の提出が必要となります。法人にとって、どちらの申告方法が最適かを慎重に検討することが重要です。
合同会社特有の特徴
合同会社は株式会社と異なり、株主総会のような手続きはありませんが、社員の一致決議により意思決定が可能です。税務上の取り扱いについては株式会社と同様であり、決算および確定申告が必要で、申告を怠った場合のデメリットも同様に生じます。
休眠会社の場合でも、活動実態がなくても法人住民税の均等割は納付義務があり、申告を行わないと延滞金が課される可能性があります。ただし、自治体によっては均等割の免除を受けられる場合もあるため、申告を行ったうえで相談することが重要です。
白色申告の基本概要

合同会社における白色申告は、会計や税務の知識が十分でない段階で選択できる簡易な申告方式です。法人でも一定の条件下で白色申告を選択でき、帳簿や提出書類の要件が比較的緩やかで、会計に不慣れな設立初年度の法人に適しています。
白色申告の制度的特徴
白色申告は制度上シンプルな仕組みですが、法人の場合には個人事業主と異なるルールや注意点があります。事前の申請手続きが不要であり、記帳が簡易簿記で簡単に行えるという利点があります。
申告手続きもシンプルで、確定申告書の第一表、第二表、第三表、第四表などを使って申告を行います。会計知識がない人や経理作業が苦手な人は、白色申告から始めるのがおすすめとされています。
帳簿作成の要件
白色申告では単式簿記で問題なく、簿記の知識がなくても簡易的な帳簿付けが可能です。青色申告では複式簿記が必要ですが、白色申告では会計の専門知識がない経営者でも手軽に決算書類を作成できます。
ただし、合同会社の場合は白色申告であっても青色申告と同レベルの記帳と帳簿保存が求められるため、白色申告のメリットはほとんどありません。帳簿の保存期間は7年間必要であり、この点は青色申告と変わりません。
申告書類と提出要件
白色申告であっても法人税、地方法人税、法人事業税、法人住民税などの納税義務が発生します。これらの申告書を準備し、期限内に提出する必要があります。法人税の確定申告期限は決算日から2か月以内と、個人事業主とは異なる特有の期限があります。
白色申告は簡易な帳簿作成が可能ですが、貸借対照表の提出が必要となります。また、法人税の申告書は複雑で時間がかかるため、専門知識が不足している場合は税理士に依頼するのが無難とされています。
白色申告のメリット

合同会社が白色申告を選択することで得られる利点について詳しく解説します。特に設立初期の法人や会計知識に不安がある経営者にとって、白色申告には一定のメリットが存在します。
簡易な帳簿作成
白色申告の最大のメリットは、簿記の知識がなくても簡易的な帳簿付けが可能なことです。複式簿記の知識を必要とせず、単式簿記で問題ないため、会計の専門知識がない経営者でも手軽に決算書類を作成できます。
Excelや手書き帳簿でも対応可能であり、取引が少ない法人にとっては導入しやすい制度といえます。記帳方式が単式簿記と簡易であるため、会計に不慣れな設立初年度の法人に適している申告方法です。
事前申請の不要
白色申告は事前申請なしで始められる手軽な選択肢となっており、設立間もない法人や初めての確定申告に取り組む法人にとって取り組みやすい申告方法です。青色申告のように「青色申告承認申請書」の提出や期限管理を気にする必要がありません。
申告手続きもシンプルで、複雑な事前準備を必要とせずに確定申告を行うことができます。これにより、設立初年度の負担を軽減し、事業運営に集中することが可能になります。
初期コストの抑制
白色申告を選択することで、青色申告と比べて帳簿作成の負担が軽減され、税理士への依頼費用も青色申告に比べて低くなる可能性があります。会計ソフトの導入についても、高度な機能を必要としないため、コストを抑えることができます。
freee会計などの会計ソフトを利用すれば、白色申告の必要書類を自動で作成できるため、さらに簡単・ラクに申告できます。初期段階では費用を抑えながら申告義務を果たすことができるため、資金繰りに余裕のない新設法人にとってはメリットとなります。
白色申告のデメリット

白色申告には簡便性というメリットがある一方で、多くのデメリットも存在します。特に節税効果の面では青色申告に比べて大きく劣るため、長期的な視点から慎重に検討する必要があります。
節税効果の限界
白色申告では、特別控除の対象外となるため、青色申告と比べて節税効果が小さくなります。青色事業専従者給与の活用もできないため、税負担が重くなりやすい制度といえます。
赤字の繰越や固定資産の一括経費計上、税額控除の適用などの節税メリットを受けられなくなります。欠損金の繰越控除や減価償却資産の特例など、様々な税制上の優遇措置が適用されないため、長期的には大きな損失となる可能性があります。
信用面での不利
金融機関から融資を受ける際には、決算書の提出が求められるため、単式簿記の帳簿では対応が困難です。融資や補助金の審査で不利になる可能性があり、事業拡大の際に制約となることがあります。
将来的な信用面や経営基盤の強化という観点では多くのデメリットがあります。正確な財務状況の把握が困難であり、経営判断に必要な情報が不足するリスクもあります。
長期的な経営への影響
白色申告は手続きが簡易で取り組みやすい反面、経理の信頼性が青色申告に比べて劣ります。法人においては、ほとんどが青色申告を行っているのが一般的であり、白色申告を継続することは事業の発展にとって不利になる可能性があります。
経営分析や資金繰りの精度が下がり、適切な経営判断を行うための情報が不足することがあります。また、税理士からの専門的なアドバイスを受ける機会も限られるため、事業の成長段階では大きな制約となる可能性があります。
青色申告との比較検討

合同会社の申告方法を選択する際には、白色申告と青色申告の違いを詳しく理解し、自社の状況に最適な選択をすることが重要です。ここでは両者の具体的な比較を通じて、適切な判断材料を提供します。
記帳方法と帳簿要件の違い
| 項目 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 記帳方法 | 単式簿記 | 複式簿記 |
| 帳簿保存期間 | 7年間 | 7年間 |
| 事前申請 | 不要 | 必要(青色申告承認申請書) |
| 貸借対照表 | 必要 | 必要 |
青色申告は複式簿記による正確な記帳が求められますが、会計ソフトを使えば、複式簿記による帳簿作成も簡単にできるため、技術的なハードルは以前ほど高くありません。一方、白色申告は単式簿記で済むものの、合同会社の場合は実質的に青色申告と同レベルの記帳が求められます。
税制上の優遇措置の比較
- 白色申告:特別控除なし、青色事業専従者給与適用外
- 青色申告:欠損金の繰越控除、減価償却資産の特例、各種税額控除
青色申告では欠損金の繰越控除や減価償却資産の特例など、様々な税制上の優遇措置が適用されます。特に設立初期に赤字が発生した場合、青色申告を選択していれば将来の黒字と相殺できるため、長期的な節税効果は非常に大きくなります。
白色申告では特別控除や税金を軽減する優遇措置が適用されないため、同じ所得でも税負担が重くなります。この差は事業規模が大きくなるほど顕著に現れるため、成長志向の企業にとっては大きなデメリットとなります。
申告方法の切り替え
白色申告を選んでいた法人でも、青色申告への切り替えが可能です。青色申告への切り替えには、税務署への「青色申告承認申請書」の提出が必要で、期限管理が重要になります。
切り替えを検討する際は、自社の事業規模、会計処理能力、将来の成長計画を総合的に判断する必要があります。多くの専門家が合同会社に対して青色申告を推奨するのは、長期的な視点から見た場合のメリットが圧倒的に大きいためです。
実務上の注意点とアドバイス

合同会社が白色申告を選択する場合の具体的な実務上の注意点と、より効果的な申告を行うためのアドバ
イスについて詳しく解説します。実際の運用において注意すべきポイントを理解することが重要です。
申告期限と手続きの管理
法人税の確定申告期限は決算日から2か月以内であり、個人事業主とは異なる特有の期限と手続きがあるため、注意が必要です。また、法人税や消費税の申告期限の延長制度を活用することで、決算に時間がかかった場合でも期限内に申告できます。
申告を怠ると法人住民税の均等割の未納や青色申告の承認取消など、深刻なデメリットが生じます。特に、休眠前に赤字を抱えていた場合、毎年の申告を行い青色申告を維持することで、過去の繰越欠損金を活用できるため、継続的な申告が重要です。
会計ソフトの効果的な活用
取引が多い法人や青色申告への移行を検討している場合は、クラウド会計ソフトの導入が有効です。現在では多くの会計ソフトが複式簿記による帳簿作成を自動化しており、専門知識がなくても正確な記帳が可能になっています。
会計ソフトを活用することで、白色申告から青色申告への移行もスムーズに行えるため、将来的な選択肢を広げることができます。また、リアルタイムでの経営状況の把握も可能になり、より適切な経営判断を行うことができます。
専門家との連携
複式簿記による帳簿作成が難しい場合や、税務上のリスクを避けたい場合は、税理士に依頼するのが無難です。税理士に依頼すれば、経営分析や資金繰り、節税策の提案など、会社内部の人間だけではできないアドバイスを得ることができます。
事業の発展には、税理士の力は必要不可欠とされています。ただし、税理士に依頼すれば費用がかかるため、合同会社の規模によっては年間25万円程度かかる可能性があります。費用対効果を慎重に検討し、自社の状況に応じて専門家のサポートを活用することが重要です。
自社での申告実施のポイント
合同会社の決算・確定申告は、自分で行うことが可能です。まずは帳簿の整理と記帳を行い、決算書類を作成します。その後、法人税、法人事業税、法人住民税、消費税の4つの申告書を準備します。
自分で決算を行えば、費用の削減や時間の節約、プロセスの理解などのメリットがありますが、専門知識が必要で、節税対策の限界や税務上のリスクもあります。帳簿管理や申告手続きに不安がある法人にとっては、段階的に専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
合同会社における白色申告は、簡便性と節税効果のトレードオフが生じるため、合同会社の実情に合わせて申告方式を選択する必要があります。設立初期や会計知識が不足している段階では白色申告から始めることも可能ですが、長期的な視点から見れば青色申告を選択することが有利となる可能性が高いといえます。
特に、法人においてはほとんどが青色申告を行っているのが一般的であり、白色申告を継続することは信用面や節税面で不利になる可能性があります。現在では会計ソフトの発達により、複式簿記による帳簿作成の技術的ハードルは大幅に下がっているため、青色申告への切り替えを積極的に検討することをおすすめします。最終的には、専門家に相談しながら自社の成長段階と将来計画に最適な申告方法を選択することが重要です。
よくある質問
合同会社における白色申告のメリットは何ですか?
白色申告の最大のメリットは、簿記の知識がなくても簡易的な帳簿付けが可能なことです。会計の専門知識がない経営者でも手軽に決算書類を作成できます。また、事前申請なしで始められる手軽さや、初期コストを抑えられるというメリットもあります。
白色申告と青色申告のどちらが有利ですか?
長期的な視点から見れば、青色申告を選択することが有利となる可能性が高いです。青色申告では欠損金の繰越控除や減価償却資産の特例など、様々な税制上の優遇措置が適用されるためです。一方、白色申告では特別控除や税金を軽減する優遇措置が適用されないため、同じ所得でも税負担が重くなります。
休眠会社でも申告義務はありますか?
はい、休眠会社でも法人住民税の均等割の納付義務があり、申告を行わないと延滞金が課される可能性があります。ただし、自治体によっては均等割の免除を受けられる場合もあるため、申告を行ったうえで相談することが重要です。
合同会社でも自分で決算と申告を行うことは可能ですか?
はい、合同会社の決算・確定申告は自分で行うことが可能です。ただし、帳簿の整理と記帳、決算書類の作成、各種申告書の準備などには専門知識が必要です。費用の削減や時間の節約、プロセスの理解などのメリットがある一方で、節税対策の限界や税務上のリスクもあるため、段階的に専門家に相談することをおすすめします。
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