目次
はじめに
日本の消費税は、私たちが日常的に買い物やサービスを利用するたびに支払っている身近な税金です。しかし、「消費税10%」や「消費税8%」という数字の裏側に、実は「消費税」と「地方消費税」という二つの異なる税金が組み合わさっていることをご存知でしょうか。この二つの税金はどのような割合で構成されており、それぞれどこに納められているのかを正しく理解することは、事業者にとっても消費者にとっても非常に重要です。
本記事では、消費税と地方消費税の具体的な割合や計算方法、そして実際の納付の仕組みについて、わかりやすく詳しく解説していきます。複数税率制度が採用されている現在の日本の消費税制度を正確に把握することで、日々の経理処理や確定申告をよりスムーズに行えるようになるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
消費税と地方消費税の基本的な構造

消費税と地方消費税は、一見すると同じ「消費税」という名前でまとめられがちですが、実際にはそれぞれ異なる目的と納付先を持つ独立した税金です。この章では、両者の基本的な仕組みと構造について詳しく見ていきましょう。
消費税と地方消費税の違い
消費税は国に納める「国税」であり、税収は国の財源として使われます。一方、地方消費税は地方の行政府に納める「都道府県税」であり、地方自治体の財源となります。どちらも物やサービスの提供に対して課税される点では共通していますが、その使途と納付先が根本的に異なります。
重要なのは、消費税が課税される取引には必ず地方消費税も同時に課税されるという点です。つまり、消費者が商品を購入する際に負担する税金は、常に「消費税+地方消費税」のセットとなっています。一般的に「消費税等」と呼ばれるのはこのためであり、私たちが普段意識している「10%の消費税」は実際にはこの二つの税率を合算したものです。
標準税率と軽減税率の内訳
現在の日本では、消費税率として「標準税率10%」と「軽減税率8%」の2種類が適用されています。それぞれの内訳は以下の表のとおりです。
| 区分 | 消費税率 | 地方消費税率 | 合計税率 |
|---|---|---|---|
| 標準税率 | 7.8% | 2.2% | 10.0% |
| 軽減税率 | 6.24% | 1.76% | 8.0% |
標準税率では、合計10%のうち消費税が7.8%、地方消費税が2.2%を占めています。軽減税率でも同様の比率が適用されており、合計8%のうち消費税が6.24%、地方消費税が1.76%となっています。いずれの税率においても、地方消費税は消費税額の22/78に相当するという計算式が成り立っています。
軽減税率の対象となる品目
軽減税率(8%)が適用されるのは、すべての商品やサービスではなく、特定の品目に限定されています。具体的には以下のものが対象です。
- 食品表示法に規定する食品(酒類を除く)の譲渡
- 定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡
注意が必要なのは、外食は軽減税率の対象外である点です。レストランやカフェでの飲食は標準税率10%が適用されます。また、酒類も軽減税率の対象外であり、スーパーやコンビニで購入する場合でも10%が課税されます。日常の買い物においてこの区別を正確に把握しておくことは、特に飲食業を営む事業者にとって非常に重要です。
地方消費税の計算方法と具体的な算出例

地方消費税の金額を正確に算出するためには、決められた計算式を理解しておく必要があります。この章では、地方消費税の具体的な計算方法と、実際のビジネスシーンで役立つ計算例を詳しく解説します。
基本的な計算式(22/78の仕組み)
地方消費税の納付額は、「消費税額(課税標準額)に22/78を乗じる」という計算式で算出されます。この22/78という数値は、標準税率10%における消費税7.8%と地方消費税2.2%の比率から導かれたものです。7.8と2.2の比を分数で表すと78対22となり、消費税額(7.8部分)に対して地方消費税(2.2部分)がどれだけかを求めるには22/78を掛ければよいという仕組みです。
具体的な計算手順としては、まず売上に係る消費税額から仕入に係る消費税額を差し引いて「納付すべき消費税額」を算出し、その金額に22/78を乗じることで地方消費税額を求めます。これは、仕入税額控除の仕組みと組み合わさっており、単純に売上全体に対して地方消費税を計算するのではなく、付加価値部分(売上-仕入)に対して課税されるという消費税の本質的な性格を反映しています。
飲食業における具体的な計算例
ここでは飲食業を例に、実際の地方消費税計算を見てみましょう。税込売上高が3,300万円の飲食店の場合を考えます。まず、税込売上高3,300万円から消費税相当額を抽出します。税率10%の場合、税抜売上高は3,300万円÷1.1=3,000万円となり、受け取った消費税額は300万円のうち国税分(7.8/10)=234万円となります。
次に、仕入にかかった消費税額が140万4,000円であると仮定すると、納付すべき消費税額は234万円-140万4,000円=93万6,000円です。この金額に22/78を乗じると、地方消費税額は93万6,000円×22/78=26万4,000円となります。最終的に、事業者が納付する合計金額は国税(消費税)93万6,000円+地方消費税26万4,000円=120万円となります。
確定申告における消費税と地方消費税の分離計算
確定申告において、消費税と地方消費税を分けて計算するケースもあります。その際には、まず税込の消費税等合計金額を0.78で割ることで消費税と地方消費税の合計金額に割り戻し、この合計金額に0.22を乗じることで地方消費税の金額を算出する方法が用いられます。
また、中間納付の判定を行う際には、地方消費税を含まない「消費税額のみ」で判定することが重要です。一方、実際の納付時には消費税と地方消費税を合算して納付するため、分離と合算を適切に使い分ける必要があります。以下に計算の流れをまとめます。
- 消費税額(国税分)の計算:売上消費税額-仕入消費税額
- 地方消費税額の計算:消費税額×22/78
- 納付税額:消費税額+地方消費税額
- 税務署への申告・納付:両者を合算して一括納付
消費税の納付手続きと税収の使途

消費税と地方消費税の計算方法を理解したら、次は実際の納付手続きと集められた税収がどのように使われるかについて知っておくことも大切です。この章では、事業者が行う納付の実務と、消費税収の社会的な意義について解説します。
納付先と申告・納付の実務
消費税は国税、地方消費税は都道府県税と、それぞれ納付先が異なりますが、実際の申告・納付の手続きでは、両者を分けて納める必要はありません。事業者は消費者から受け取った消費税と地方消費税を合算し、「消費税等」として所轄の税務署に一括して申告・納付することになっています。
これは事業者の事務負担を軽減するための仕組みであり、税務署がその後、国税分と地方税分を適切に配分する形となっています。事業者にとっては、複雑な二重申告が不要なため、実務上は消費税と地方消費税を合わせた金額を管理・計上しておけばよいという利点があります。ただし、帳簿上や申告書上で両者の内訳を正確に把握しておくことは、税務調査への対応などの観点からも重要です。
消費税率引き上げ時の変遷
消費税率は過去に複数回引き上げられており、その都度、消費税と地方消費税の内訳も変更されてきました。以下の表は、時期ごとの税率変遷をまとめたものです。
| 時期 | 消費税率 | 地方消費税率 | 合計 | 地方消費税の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 8%時代(旧) | 6.3% | 1.7% | 8.0% | 消費税額×17/63 |
| 8%時代(軽減税率) | 6.24% | 1.76% | 8.0% | 消費税額×22/78 |
| 10%時代(現行) | 7.8% | 2.2% | 10.0% | 消費税額×22/78 |
2019年10月の消費税率8%から10%への引き上げ時には、消費税と地方消費税の内訳も変更されました。旧8%時代には17/63という比率が使われていましたが、現在の軽減税率8%と標準税率10%の両方において22/78という統一された比率が採用されています。この変更により、複数税率制度のもとでも計算方法が統一され、事業者の事務負担が軽減されています。
消費税収の社会的意義と使途
消費税率の引き上げ分の税収は、すべて社会保障の財源として充てられることが法律で定められています。具体的には、年金・医療・介護・子供・子育て支援など、国民の生活を支える社会保障制度の充実と安定化のために使われます。高齢化社会が進む日本において、これらの財源を安定的に確保することは非常に重要な課題です。
地方消費税については、都道府県や市町村に配分されることで、地方の医療・福祉・教育などの行政サービスの充実に貢献しています。消費税という形で幅広い消費行動に対して課税される仕組みは、景気変動に左右されにくい安定した税収を確保できるという点でも、社会保障の財源として適していると言われています。私たちが日々支払っている消費税が、社会の安心・安全を支える重要な役割を担っていることを改めて認識することが大切です。
まとめ
消費税と地方消費税は、私たちが日常的に目にする「10%」や「8%」という税率の中に一体として組み込まれており、標準税率10%では消費税7.8%と地方消費税2.2%(消費税額×22/78)、軽減税率8%では消費税6.24%と地方消費税1.76%という内訳になっています。事業者は両者を合算して所轄の税務署に納付しますが、その計算方法や対象品目の区分を正確に理解しておくことが、適正な税務処理の基本となります。
消費税制度は私たちの社会保障を支える重要な財源であり、その仕組みを正しく理解することは事業者だけでなく消費者にとっても意義深いことです。本記事を参考に、消費税と地方消費税の割合や計算方法について理解を深めていただければ幸いです。
よくある質問
消費税10%は、実際にはどのように分かれているのですか?
消費税10%は、国に納める消費税7.8%と地方自治体に納める地方消費税2.2%から構成されています。この比率は消費税額に22/78を乗じることで地方消費税を計算する仕組みとなっており、統一された計算方法により事業者の事務負担が軽減されています。
軽減税率8%が適用される商品には、どのようなものが含まれますか?
食品表示法に規定する食品(酒類を除く)と、定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞が対象です。ただし外食やレストランでの飲食、そして酒類については標準税率の10%が適用されるため注意が必要です。
事業者は消費税と地方消費税を別々に納付する必要がありますか?
実際の申告・納付手続きでは、両者を合算して「消費税等」として所轄の税務署に一括で納付します。税務署がその後、国税分と地方税分を適切に配分する仕組みになっており、事業者の事務負担を軽減するための工夫がされています。
消費税率引き上げ分の税収は、どのように使われているのですか?
消費税率の引き上げ分の税収は、法律で社会保障の財源として充てることが定められています。年金・医療・介護・子供・子育て支援など、国民の生活を支える社会保障制度の充実と安定化に使われており、高齢化社会における重要な財源となっています。
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