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<スタートアップ企業>資金調達の仕組み!課題や流れは?

スタートアップ企業では、事業の立ち上げ期や拡大期においてまとまった資金が必要となるケースが多いです。

自己資本が潤沢にある例外的な場合を除けば、これらの必要資金を調達することは経営における重要事項の一つです。

本記事では、スタートアップの資金調達の仕組みについて、課題や流れを含めて解説します。

スタートアップ起業を経営されている方や、資金調達を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

スタートアップ企業における資金調達の重要性

ここでは、スタートアップ企業における資金調達の重要性について解説します。

日本国内におけるスタートアップ企業の資金調達額は、新型コロナウイルスの影響を受けて一時下がったものの、年々増加傾向にあります。

2022年1月25日時点の国内スタートアップ資金調達額は7,801億円、企業数は1,919社まで増加しています。

(出所:INITIAL https://initial.inc/enterprise/resources/japanstartupfinance2021)資金調達額は2020年比で46%増となり、一社あたりの調達大型化が進んでいます。

なぜ資金調達が重要となるのか

スタートアップ企業とは、革新的なアイデアや技術を用いて新たな事業を立ち上げる企業を指します。

新たな事業を軌道に乗せるまでには、「生産設備や技術」「人材の採用や育成」「ユーザー獲得のための広告宣伝費」などに多くの費用が必要となります。

スタートアップ企業の場合、事業立ち上げ当初は売上や利益の規模が小さいため、自己資金のみで必要資金を賄うことは困難です。

一方で、スタートアップ企業が行う革新的なアイデアや技術を用いた事業は、スピード感のある事業推進が必要となるため、必要となる投資を自己資金で賄えるタイミングを待っていては大きな機会損失となります。

そのため、スタートアップ企業が事業を加速的に成長させていくためには、社外からの資金調達が重要となるのです。

スタートアップ企業の資金調達方法

ここでは、スタートアップ企業の資金調達について解説します。

スタートアップ企業の資金調達方法は、アセットファイナンスデッドファイナンスエクイティファイナンスの3種類に大別されます。以下で詳しく説明していきます。

アセットファイナンス

アセットファイナンスとは、会社や経営者が所有している資産を資金化する方法です。

スタートアップ企業の場合、起業から間もなく十分な資産を持っていないケースもありますが、将来的にキャッシュを生み出す権利などを持っていれば有効に活用することができるでしょう。

アセットファイナンスの代表例には、不動産担保による銀行融資やファクタリングによる売掛債権の現金化が挙げられます。

その他にも、保険・株式などの金融資産、特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産権といった、将来的にキャッシュを生み出す資産であれば、アセットファイナンスの対象になります。

デッドファイナンス

デッドファイナンスとは、銀行借入や債権発行などの負債によって資金調達をする方法です。

銀行からの融資の他にもさまざまな調達先があり、自治体の制度融資や日本政策金融公庫等の公的金融機関、家族や友人などが挙げられます。

また、融資に対して支払う利息は、損金計上が可能なため一定の節税効果もあります。

一方で、負債による資金調達は自己資本比率を低下させるため、長期にわたり借入金の比率が多い状態が続くことは信用力の低下に繋がります。

また、借入金の元金返済や利息の支払いは、自社のキャッシュフローを減少させる要因にもなります。

エクイティファイナンス

エクイティファイナンスは、株式交付と引き換えに出資を受けて資金調達をする方法です。

調達した資金は、基本的に返済義務が発生しないという特徴があります。

また、調達した資金は自己資本に計上されるため、貸借対照表の財務内容を圧迫することもありません。

ただし、出資者が株式を保有する点や、出資に応じた配当求められる可能性がある点に注意が必要です。

おすすめの資金調達方法

ここでは、おすすめの資金調達方法について解説していきます。

スタートアップ企業の資金調達方法は、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資の他、株式投資型クラウドファンディングによる調達もおすすめです。

ベンチャーキャピタルからの出資

ベンチャーキャピタルとは、スタートアップ企業などへ投資し、IPOやM&Aなどエグジットのタイミングで売却益を得ることを目的とした機関です。

ベンチャーキャピタルからの出資は、基本的には返済義務がないため、事業内容や将来性に合わせた資金調達を行うことが可能です。

また、ベンチャーキャピタルの投資実績や経験に基いたアドバイスやサポートを受けられることもあるため、経営の一助として活用することも可能です。

その反面、ベンチャーキャピタルはエグジットによる売却益を目的とした機関であるため、安定的な株主であることを約束するものではありません

そのため、資金調達をすべてベンチャーキャピタルで賄うことには一定のリスクがあります。

エンジェル投資家からの出資

エンジェル投資家とは、創業間もない企業に対して資金を供給する個人投資家です。

投資の対価として株式や転換社債を受け取ることが一般的ですが、複数のエンジェル投資家が集団となり共同出資を行うケースもあります。

エンジェル投資家には、起業家や銀行・証券出身者、経営コンサルタントなど様々な方がいます。

求めるリターンも様々であり、経営に深く関与することを望む方もいるため、出資を受ける前に慎重な検討を重ねることが大切です。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングとは、インターネット上のプラットフォーム通じて広く出資を募る資金調達方法です。一口数万円から投資可能な仕組みであり、サラリーマンなどでも小口投資が可能という特徴があります。

支援者が多いほどまとまった資金を調達しやすくなるため、プラットフォームの閲覧者に対して自社の事業を効果的にアピールすることが大切です。

自社の将来性や可能性をしっかりと伝え、多くの支援者を得られるようにしましょう。

スタートアップ企業の資金調達における課題

ここでは、スタートアップ企業の資金調達における課題について解説します。

資金調達の際には、課題となるリスクをしっかりと把握しておくことが重要です。

契約の内容によっては取り返しのつかない事態となる可能性もあるため、十分に注意するようにしましょう。

経営の自由度が下がる

スタートアップの資金調達では経営の自由度が下がる恐れがあります。

投資家から出資を受ける場合、投資の対価として自社の株式の一部を付与します。

投資家によっては、過度に経営に干渉してくる場合もあるため注意が必要です。

また、資金調達時に投資家へ株式を付与し過ぎると経営権を握られるリスクが生じるため、投資契約の内容などはしっかりと把握するようにしましょう。

不利な条件を設けられる

スタートアップの資金調達では、不利な条件を設けられる恐れがあります。

資金調達をする投資家によっては、不利な交渉を強いられ、自社の企業価値を不当に低く見積もられたり、契約書に不利な条文を盛り込まれたりする可能性があります。

資金調達は、スタートアップ企業にとって重要な交渉場面です。

出資をする投資家が現れた場合においても、複数の投資家へ打診するようにしましょう。

複数の投資家の出資条件を比較することで、自社にとって最適な出資条件で資金調達が可能となるでしょう。

金融機関の審査を経なければならない

金融機関から資金提供を受ける場合、所定の審査を経る必要があります。

融資による資金調達は、出資とは異なり調達資金を返済していく必要があります。

そのため、金融機関ではスタートアップ企業の返済能力を重視します。

金融機関から返済能力が乏しいと判断された場合、融資による資金調達ができなくなってしまうため、客観的かつ実現可能性の高い事業計画・返済計画をしっかりと作り上げるようにしましょう。

資金調達までに時間がかかる

金融機関からの融資などの場合、資金調達までに時間がかかる場合があります。

融資による資金調達は、日本政策金融公庫では1か月程度地方銀行や信用金庫では1~3か月程度地方自治体の制度融資では1か月程度の期間が必要となります。

スタートアップ企業の経営においては、迅速な資金調達が必要となる場合もあります。

資金調達の方法によっては、実際に資金を確保するまでの期間が異なるため、事業資金の緊急度によって資金調達方法を比較検討するようにしましょう。

資金調達の流れ

ここでは、資金調達の流れについて解説します。尚、説明に際しては、スタートアップ企業に多く見られる、取締役会を設置していない会社と仮定しています。

資金調達前の準備

資金調達前の準備として、関係者への必要事項の確認や資料作成を行う必要があります。

既存株主に対しては、新たに資金調達を行うことについて承諾を得る必要があります。

これは、新たに資金調達が行われることによって、既存株主にとっては持分比率が低下してしまうことになるからです。

既存株主へは、資金調達額や資金調達時の想定企業価値、調達時の投資契約条件などの情報を開示することが重要です。

資金調達による事業への投資は、企業の成長や事業戦略の幅が広がるといったメリットが得られるため、既存株主へしっかりと説明し理解を得るようにしましょう。

投資家との交渉

既存株主の理解が得られたら、投資家との交渉を進めていきます

事業概要資料や事業計画書等を用いて、投資家に対して事業の説明を行います。

自社の事業内容はもちろん、事業の成長性や市況環境等も詳しく説明しましょう。

その後、調達金額や発行株式などの調達条件について決めていきます。これらの交渉に際しては、必要に応じて専門家のアドバイスを受けるとよいでしょう。

会社法手続

投資家との交渉がまとまったら、会社法上の諸手続きを進めていきます。

具体的には、株主総会によって「募集株式の種類・株式数」「募集株式の割当方法・対象者」「募集株式の払込金額」「増加する資本金・資本準備金」「払込期日」「払込を取り扱う場所」などの決定すべき事項について取り決めを行います。

登記手続き

会社法の手続きを経て登記手続きを行っていきます。

登記の際には入金証明書が必要となるため、まずは投資家から入金がされたかどうかを確認しましょう。

その後、「登記申請書」「資本金計上証明書」「株主総会議事録」「入金証明書」などの必要書類を、証憑資料とともに法務局へ提出し手続きを行います。

提出時には書類の不備がある可能性もあるため、必ず会社の代表印も持参するようにしましょう。

まとめ

本記事では、スタートアップの資金調達の仕組みについて、課題や流れを含めて解説しました。

スタートアップ企業が事業を加速的に成長させていくためには、社外からの資金調達が重要となります。

資金調達方法は、アセットファイナンス・デッドファイナンス・エクイティファイナンスの3種類に大別されますが、自社の状況に応じた最適な資金調達を選択するようにしましょう

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