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ネットショップ運営に必須な特定商取引法に基づく表記とは?知るべき内容と罰則

ネットショップ運営に必須な特定商取引法に基づく表記とは?知るべき内容と罰則

ネットショップ運営をするのであれば、特定商取引法に関する知識は必ず身につける必要があります。

なぜなら、特定商取引法に関する知識がないことによって意図せず違反をしてしまい、罰則が科されるリスクがあるためです。この記事では、特定商取引法に関するさまざまな知識を提供します。

特定商取引法の表記

特定商取引法に基づく表記は、ECサイトには必須の情報であり、それぞれの項目についてわかりやすく記載する必要があります。

事業者の氏名(名称)等

まず、事業者の氏名(名称)の記載は必須です。

記載するのはあくまで登記簿上の名称や個性上の氏名であり、通称や屋号、サイト名は認められません。

事業者の住所と電話番号

事業者の住所と電話番号も、記載が必要です。住所については、法人の場合は登記簿上の住所、個人事後業主の場合は現に活動している住所を記載します。

電話番号については、確実に連絡が取れる番号を記載しましょう。

商品の販売価格

商品の販売価格も記載が必要で、さらに送料やラッピング代などもかかる場合は、それらについても記載する必要があります。

ただし、商品の販売価格や送料などが各商品のページに表記されている場合は、特定商取引法に基づく表記では省略しても構いません。

支払い方法と支払いの時期

支払い方法については、利用できるすべての方法の明示が必要です。

複数の支払い方法がある場合、それぞれ支払いの時期がことなるため、いつ支払いが発生するのかを明記しましょう。

商品の引渡時期

商品の引渡時期とは、消費者からの注文を受けた後に、商品が消費者の元に届く時期のことです。

返品や交換に関する規定

返品や交換に対応する場合は、これらについての規定を表記する必要があります。

ちなみにECサイトの場合、クーリング・オフに関する規定はありませんが、特定商取引法第15条の3は通信販売における売買契約の解除等について規定があります。

もし特約を定める場合はECサイトの規定に沿って、返品や交換に応じる条件や、送料をどちらが負担するかなどをわかりやすく記載しましょう。

上記以外の商品に関する情報

上記以外の商品に関する情報の例として、ゲームソフトやPCアプリの対応機種や動作環境などが挙げられます。

許可や免許が必要な商品を扱う場合には、その内容も表記しましょう。

特定商取引法の内容

そもそも特定商取引法とは、消費者を守るための法律です。

ECサイトのような通信販売だけでなく、訪問販売や電話勧誘販売など、消費者とトラブルが発生しやすい取引に対して、事業者側が守るべきルールを定めています。

特定商取引法で対象となる商取引は、下記のとおりです。

  • 訪問販売
  • 通信販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 特定継続的役務提供
  • 業務提供誘引販売取引
  • 訪問購入

ECサイト上での取引は、通信販売に該当します。

特定商取引法の行政規制

消費者への適切な情報提供の観点から、特定商取引法によって以下のような行政規制がおこなわれています。

氏名等の明示の義務

事業者は勧誘の開始前に、事業者名や勧誘目的であることなどを消費者に告げる必要があります。ECサイトの場合も、ECサイトにこれらの内容を表記することが必須です。

不当な勧誘行為の禁止

事実と異なる情報の告知や、不安をあおる告知などの不当な勧誘行為は禁止されています。

広告規制

事業者が広告を出稿する際には、重要事項の表示を義務づけるとともに、虚偽および誇大広告を禁止しています。

書面交付義務

事業者は、契約締結時等の際に重要事項を記載した書面を消費者に交付しなければなりません。重要事項の内容としては、商品やサービスなどの質や用途に関する内容や、対価などの取引条件などが該当します。

特定商取引法の民事ルール

特定商取引法の民事ルールによって、消費者と事業者の取引がスムーズになり、トラブルのリスクが軽減されます。

クーリング・オフ

クーリング・オフとは、商品やサービスの申込みまたは契約を交わし、契約書などの法定書類を受け取った後でも、一定の期間内であれば無条件で解約できるというルールのことです。

クーリング・オフが可能な期間は業態によって異なり、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入は申込みまたは契約当日も含めて8日間、連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引の場合は20日間と定められています。

意思表示の取り消し

事業者が間違った情報を提示したり、事業者にとって不利な情報を故意に伝えなかったりしたために消費者の判断を誤らせた場合には、消費者は「意思表示の取り消し」ができます。

損害賠償額等の額の制限

特定継続的役務提供においては、サービスの解約による損害賠償請求額に上限を設けています。

特定継続的役務提供とは、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務のことです。上限額はサービスによって決められており、またサービスの利用前と利用後で異なります。

特定商取引法違反における罰則

特定商取引法に違反すると、刑罰の対象となります。刑罰の対象が個人の場合科せられる可能性がある刑罰は、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその併科です。

刑罰の対象が法人の場合は、最大で3億円以下の罰金が科されます。

刑罰だけではなく、行政処分も課される可能性があります。行政処分には、問題がある部分の改善を命じる「指示」や、最長2年間にわたって業務を禁じられる「業務停止命令」、業務停止期間中に指名された個人が同業の会社を立ち上げることを禁ずる「業務禁止命令」があります。

まとめ

記事の結論

特定商取引法に違反すると、重大な罰則が科せられます。

企業の社会的なイメージも大幅にダウンする恐れがあるため、必ず遵守しましょう。