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法人税が払えない。分割での支払いはあり?

分割での支払いはあり?

法人税は高額なため、一括で納付するのが難しいことがありますよね。

しかし、法人税は基本的に期限内に一括で納付するものであり、納付が遅れると脱税扱いとなってしまいます。そこで役立つのが、法人税の分割納付です。
法人税は、分割納付が可能です。では、分割納付はどのようにしておこなうのでしょうか。

この記事では、法人税の分割納付について解説します。

法人が税金を払えないときに課される罰則

法人は税金を払えなかった場合、延滞税を徴収されたり、差し押さえをされたりします。

①延滞税

延滞税とは、その名のとおり、税金の納付が遅れた際に課される税金のことです。注意点は、申告期限までに確定申告を済ませていたとしても、税金の納付が遅れたら延滞税が課されることです。延滞税の税率は最大14.6%と高いため、税金の納付は遅れないようにしましょう。

②差し押さえ

差し押さえとは、財産を強制的に剝奪されてしまうことです。税金を納付しないと、税務署から催促状が届くのですが、それを無視すると差し押さえが実行されてしまいます。そのため、催促状が届いた場合は、無視せず税務署に相談しに行きましょう。

法人税を分割して支払う方法

法人税を分割して支払う方法には「換価の猶予」と「納税の猶予」の2つがあります。では、それぞれについて解説します。

①換価の猶予

換価の猶予とは、税金を一括で納付してしまうと、事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがある場合に、申請手続きにより差押財産の換価(売却)が猶予される制度のことです。

換価の猶予が認められることで、申請者の財産や収支の状況に応じて1年以内の猶予期間が与えられ、その間に税金を分割して納付できます。

そして1年以内に完納できないようなやむを得ない事情があると認められた場合は、さらに1年間猶予期間を延長できます。換価の猶予が認められるためには、次の5つの要件を満たさなければなりません。

1. 税金を一括で納付することで、事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがあると認められること

2. 納税について誠実な意思を有すると認められること

3. 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと

4. 納付すべき国税の納期限から6か月以内に「換価の猶予申請書」が所轄の税務署に提出されていること

5. 原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること

猶予を受けようとする納税額が100万円以下か100万円を超えるかによって、必要書類が異なります。
換価の猶予申請書類は、納税額によって必要なものが異なります。

納税額が100万円以下の場合

  • 換価の猶予申請書
  • 財産収支状況書
  • 担保の提供に関する書類

また、担保となる財産がない場合も、換価の猶予が認められる可能性があります。もし担保となる財産がない場合は、税務署や税理士などの専門家に相談してみましょう。

②納税の猶予

納税の猶予とは、その名のとおり、納税期間を延長してもらえる制度のことです。

納税の猶予が認められることで、次の3つのことが認められます。

  • 1.新たな差し押さえや換価などの猶予
  • 2.既に差し押さえを受けている財産の差し押えの解除
  • 3.納税の猶予が認められた期間中の延滞税の全部または一部が免除

したがって、罰則が科される心配をせずに、安心して法人税を分割納付できます。
猶予期間は1年以内ですが、申請者の財産や収支の状況に応じて、最も早く国税を完納できると認められる期間に限られます。

なお法人税は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付しなければなりません。

ただし、猶予期間内に完納することができないやむを得ない理由があると認められる場合、当初の猶予期間が終了する前に所轄の税務署に申請することで、当初の猶予期間と合わせて最長2年以内の範囲で猶予期間の延長が認められる可能性があります。
納税の猶予は、災害や病気、事業の休廃業などの場合や、修正申告などの場合に認められます。

それぞれの具体的な要件は、次のとおりです。

災害、病気、事業の休廃業などの場合

①次に掲げるもののいずれかに該当する事実があること

イ 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難に遭ったこと

ロ 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと

ハ 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと

ニ 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと

ホ 納税者に上記イからニまでに類する事実があったこと

②納税者がその納付すべき国税を一括で納付することができないと認められること

③「納税の猶予申請書」が所轄の税務署に提出されていること

④原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること

修正申告などの場合

①法定申告期限から1年を経過した日以後に納付すべき税額が確定した税金があること

②納税者が①の国税を一時に納付することができない理由があると認められること

③納税者から①の税金の納期限までに「納税の猶予申請書」が所轄の税務署に提出されていること (やむを得ない理由があると認められる場合を除く)

④原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること

まとめ

法人税を一括で納付することが困難でもご安心ください。

要件を満たしたうえで所定の手続きをすることで、法人税の分割納付が認められます。

もしお困りの場合は、税務署に相談してみましょう。